芭蕉と遊女

一つ家に遊女も寝たり 萩と月
                    芭蕉

この句に登場する遊女は、二人で新潟から伊勢神宮の旅の途中で、芭蕉翁と同宿になった。
翌朝、旅の心細さから、芭蕉に旅の道連れを切望したけれど、芭蕉の吟行のため、断られたそうである。
しかし、芭蕉は断って別の道を歩いている時、遊女二人の心細さを想い、「哀れさ しばらくやまざりけらし」と記している。

                           新潟県糸魚川市句碑より

艶やかさを感じさせる句と思う。
既に老境の芭蕉翁にして、枯れながらも艶を残す。

「遊女も」が「遊女と」に変化した場合は、かなり意味も「艶の質」も変わる。

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