アルビジョア十字軍⑥サン・タントナン
まともな武器を持たない貧しい十字軍兵士が攻撃の口火を切った。
(伯も騎士たちも、知らない間の出来事だった)
町民と城兵は町の裏側か逃れ出て、川を泳いで逃げようとした。
その逃げる町民に、十字軍兵士が追いすがり、手の届く限り、皆剣で刺し殺した。
翌朝、十字軍内で会議が行われた。
「耕作者たる町民を殺戮すれば、町が無人になることを考慮し、住民を帰らせること」を決議した。
しかし、諸悪の根源の領主は城塔の底深くの牢獄に幽閉した。
どれほどの理屈や平和第一を願っても、所詮、人間は命の危険には、無力である。
皆殺しにならなかっただけでも、良かったとするべきなのだろうか。
いろいろ、考えさせられる話である。
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