見出し画像

紫式部日記第138話さるは、宮の御心あかぬところなく(7)斎院と中宮御所の女房の違いについて

(原文)
ほかの人は、さぞはべらざなる。かかるまじらひなりぬれば、こよなきあて人も、みな世にしたがふなるを、ただ姫君ながらのもてなしにぞ、みなものしたまふ。下臈の出で会ふをば、大納言心よからずと思ひたまうたなれば、さるべき人びと里にまかで、局なるも、わりなき暇にさはる折々は、対面する人なくて、まかでたまふときもはべるなり。

(舞夢訳)
他のお屋敷の女房たちは、このようなことはない、とお聞きしております。
この、女房という仕事に従事することになれば、どのような高貴なお家柄のお嬢様であったとしても、世間一般で考えられている女房としての仕事のやり方に、従うべきであるのに、この中宮御所の人は、皆お姫様そのもので、全員がそのような、ご様子なのです。
大納言(中宮の大夫)は、下臈の女房が応対として出ることを、問題があると思っていられるので、しっかりとした女房が、自宅に戻っている場合、あるいは自分の部屋にいて、対応が出来ない場合には、結局まともに仕事を任せられる人がいないので、お帰りになってしまうこともある、とお聞きしております。

紫式部が「書いてしまった」中宮彰子の御所の「惨状」になる。情けないと思うけれど、あまりの酷さだったのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?