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石仏

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石仏について、書きます。
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#悲惨

石仏の話(36)自他法界平等利益

石の柱に「自他法界平等利益」と書いたものがある。 仏様の造形はなされていない。 言うならば文字塔になる。 意味としては、「自分も他人も世界も平等に幸せになりますように」ぐらいだと思う。 まさに仏教の真髄のような言葉になるけれど、実はそれが最大の難事である。 他宗教の中には、自らの信仰に異とするもの(人間)は、「神の意に反する」のだから、神の民ではない(つまり悪に属する)ので、滅ぼさなければならないとするものもある。 神の意と信じ、他宗教の民を殺戮する。(根絶やしにするのが神

石仏の話(6)将軍地蔵

将軍地蔵は鎌倉期に武士たちの戦勝祈願から造られたと言う説もあるけれど、果たしてどうだろうか。 そもそも人は、他者の無残な死体や負傷した姿を欲して地蔵に願をかけるのだろうか。 地蔵が将軍となって、他者からの悪意の攻撃を、人々の争いを、止めてもらいたいという気持から造られたと信じたい。 また勝敗の結果に関わらず、戦争に関わった人々の心を、癒して欲しいとの気持もあったのだと思う。 何しろ、戦争は地獄。 地獄から苦しむ衆生を救うのは、まず地蔵菩薩。 地蔵菩薩に相手を害して欲しい、痛め