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村上春樹訳「結婚式のメンバー」カーソン・マッカラーズ

病院の待ち時間は落ち着いて読書できる素敵なチャンスだ。ただし週末は疲れ切っているために睡眠確保に充てられることも少なくないのだが、この本はすいすい読めた。帰宅後に最終章を読破。久々に美味しい文学をいただけて「ご馳走様でした」という気分だ。

カーソン・マッカラーズは「心は孤独な狩人」(The Heart is a Lonely Hunter)という代表作があることだけは知っていた。(映画化されたらしい)
こんな陶酔感を得ることができるのなら、もっと早く手にとってみるべきだった。しかし今更ながら、村上訳につられて読むことができただけでも幸運ということにしよう。
書き出しはこうだ。

緑色をした気の触れた夏のできごとで、フランキーはそのとき12歳だった。その夏、彼女はもう長いあいだ、どこのメンバーでもなかった。どんなクラブにも属していなかったし、彼女をメンバーと認めるものはこの世界にひとつとしてなかった。
・・・・・・・・・・・・
そして最後には、夏は緑色の病んだ夢となり、ガラスに閉じ込められたクレイジーな無音のジャングルとなった。

独特の感受性と不完全な精神、アンバランスに成長する肉体。それらの危うい均衡。少女って存在はねぇ・・・。
「でもそんな時期を通り過ぎて大人になっていくものよ」なんてしたり顔で言って欲しくない!そんな感性をもたずして、大人になんてならなくていい!

遅まきながらマッカラーズの魅力に捕らわれたわたしは「心は孤独な狩人」を読みたくなった。
ところが!!!
絶版なので文庫本が一万円以上するという異常事態だ!
残念なことに、時代的な背景から・・・今で言う差別的表現が多用されており、再版の目途は立っていないそうだ。
あ~あ!

そこで安価なペーパーバックをチェックしてあるけれど・・・
悩ましいことだわ(笑)