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とある家族の日常で

「銀河売り、お母さんもいっしょにやろう!」
「待ってて。ここ片付けたら行くね」
「うん!早くね!」

とある日曜日の午後。
7歳の息子の海斗が『銀河売り』と言うゲームを夫と一緒に夢中になり遊んでいる。このゲームは、海斗が考えたオリジナルゲーム。
『銀河売り』ゲームは、たくさんの色んな色の折り紙に銀河の絵を書いて(海斗と夫が書く。私は絵が苦手……)、白紙の所に1個お題を書く(皆でそれぞれ考え書く)。
ゲームする時はシャッフルしてお題が見えないように売り買いして、買った人はそのお題を実行しないといけない。
これをひとり3回やったら交代する、というゲーム。
簡単なお題だといいけど大変なのは困ってしまう(スクワット30回とか……)       

海斗はテレビとかよりも、自分でゲームやお話を考えたり絵を書いたりする方が好き。家にいる時はいつもこんな感じで遊びに付き合うことがある。
時々、はぁ~と思うこともあるけれど、もう少し大きくなったらこんな風に一緒に遊ぶことはないんだろうな。
よし!私は急いで片付けて海斗と夫の所に向かった。
「お待たせ~」
「いま、ぼくが銀河を売る人だから!」
「はーい」
「じゃぁ、いらっしゃいませ!何色の銀河にしますか?」
「ん~ん~じゃぁ、この緑色の銀河を下さい」
「はい!ありがとうございます!どうぞ!」
「ありがとうございます」
何が書いてあるんだろう。怖いな。
恐る恐るみと、
《ハンバーグをつくる》と書いてある。
「ハンバーグをつくる、だって」
海斗は嬉しそうに「やったー!」と万歳をした。
「いつ?いつハンバーグ作ってくれる?」
ニコニコ顔で私に話しかける海斗。
ハンバーグは海斗が一番好きな食べ物。
「今日、作れるよ。材料あるから」
「ほんと?やった!お父さん、今日はハンバーグだって!やったね!」
「ああ。お母さんのハンバーグ、美味しいもんな」
「うん!」
海斗と夫はハイタッチをして喜んでいる。
私は愛する2人の男たちを見ながら、似た者親子だなと何だか微笑ましく温かい気持ちになった。

あ。油断してはいけない。
私にはまだあと2回のお題が残ってるんだった。
簡単なお題でありますように・・・
私は銀河に願う。

「いらっしゃいませ!何色の銀河にしますか?」
そう言って、私の可愛い銀河売りが楽しそうに笑った。




#シロクマ文芸部

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