マリリン・モンローが好きな理由

大学生の頃、バイト先で白黒の映画がずっと流れていた。

音は聴こえず映像だけを眺めていると、本当に笑顔の可愛い女性が映っていた。

マリリン・モンローだった。


モンローといえばセクシャルなイメージ、スカートがめくれているイメージ。

セックスシンボル。

パブリックイメージでしか知らなかったマリリン・モンローと同じだけれど同じじゃない。

はじめは誰なのかはっきりわからなかった。

映画の中のモンローは、セクシーで、可愛かった。

お花のような笑顔っていうのは、こういうことを指すんだなと思った。


それからわたしは、一気にマリリン・モンローのファンになった。

映画をみたり、ネットで調べてみたりした。

オードリー・ヘップバーンも、BBも大好きだけど、わたしの中の1番はマリリンだ。

ああ、わたしもあのくるくるの髪型が似合う顔だったら、自信の持てるスタイルだったら、あんなに可愛く笑えたら、あんなにセクシーだったら、あんなに紅い口紅が似合う女性だったら。



少し前、紅い口紅が流行った。

わたしは嬉しかった。

今だったら、わたしが紅い口紅をつけていても不自然じゃないと思ったから。

すぐにTHREEで購入した。


嬉しかった。

紅いリップは憧れだから。

けれど素敵すぎて、なんだか女性っぽすぎて、憧れはあったけど手が出せなかったから。

単純に嬉しかった。


周りから変に思われないかなんて、自意識の塊のわたしは思っていたけれど

なにせ流行っていたから、どこで買ったのかなんて聞かれたくらいで

ハラハラするほど周りは気にしないっていうのを改めて感じてほっとしていた。

それからしばらく紅いリップは定番になって、似合うねと言ってもらって、あの時の流行りに便乗してみましたと返した。


わたしは色んなことを自転車に乗っている時にふと考える。

考えるというか、気付く。

その日もそうだった。


ああ、紅い口紅をつけていることと、

紅い口紅が好きでつけていることは、全然違うなと思った。


わたしは紅い口紅が好きだ。

ずっと憧れていた。

本当は、ちいさい頃から憧れていた。

映画に出てくるすてきな女優さんたちは、紅い口紅を付けていた。

素敵だと思った。なんだかプライドを感じられるから。

羨ましく思った。女性としての自信を感じられるから。


わたしは付けられなかった。

自分には似合わないと思ったから。

紅い口紅をつけられるのは、特別な女性だけだと決めていたから。

わたしはわたしを特別じゃないと決めつけていたから。

わたしは女性としての自分を出すことが恐いから。


初めて百貨店で紅い口紅を買ったあの日、もういい大人のわたしはドキドキした。

鏡でみて嬉しかった。

嬉しかった。


流行ってるから付けたんじゃない。

本当は、付けたかった。好きだから。

素敵だから。

わたしも素敵な女性になりたかったから。



マリリン・モンローは、わたしの憧れるものをたくさん持っている。

紅い口紅が似合うこと、

ハイヒールが似合うこと、

自分が自分であることをみせられること、

プライドがあるようにみえること、

弱い部分があるようにみえるのがセクシーなこと、

すべてがあらわれて、あのお花のような笑顔で笑うこと。


わたしはマリリン・モンローが好きだ。

とても好きだ。


紅い口紅とハイヒールは、今の自分にとっては日常になった。

けれどやっぱり、心を高まらせてくれる。


わたしにとってのモンローは、永遠にそういう存在だ。


よし、次はFerragamoのハイヒールだ。

貯金だ。

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