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鋲ジャンは正礼装である


一見冗談みたいなことを言うが実際冗談抜きで、自分にとってのモストフォーマルスタイルとは紛うことなきパンクファッションである。この格好で赴く先というのはそれだけ自分にとっての本気度を表したい場所であるということだ。

自分にとってのパンクとはすなわち、精神性でありアチチュードである。自分の生き方の問題である。

Tシャツにジーンズというような、質素な格好で普段IT企業のサラリーマンとして勤めている時もそれが揺らぐことはない。本質的には常時精神の根底に根付いているマインドなので、外見的に所謂「パンクファッション」であろうがなかろうが直接的には関係ない。

しかしそんな中でも、大事な局面においては、敢えて能動的に自分の内面を可視化させる=パンクファッションに身を纏う、ということをする場面がある。

これには意外と覚悟が伴う。自分にとっては、自らの主義・思想を目に見える形で公にすることになるからだ。顔面に自分の意見や主張を書いて外を歩いているのと変わらない。何より、軽薄なファッションパンクほど恥ずかしいものはない。ファッションパンク止まりか否か、試される場面でもある。

パンクスの名に恥じる人間であってはならないと思うと、いつもより一層身が引き締まる思いがする。
そういった意味でパンクファッションとは、自分にとっての最上級の正装なのである。



先日、16歳からかれこれ14年近く付き合いのある音楽仲間の結婚パーティーにお呼ばれした。

新郎新婦は、自分の音楽活動のキャリアのスタートを知る二人だ。人生で初めて自分の思想を「パンクロック」という音に乗せて表現したその瞬間に、つまりパンクスとしての自分が確立した瞬間に、立ち会ってくれた人物なのである。

自分の変遷を知る二人に、私はあの頃から変わらずパンクスとして生きているしこれからも生きて行く、という意思を伝えたいと考えた。またいち友人としてもだし、いちパンクスとしても二人を祝福すべきだと思った。

しかしいくらカジュアルとは言っても結婚パーティーと聞けば、大多数の人は少なからず俗に言う"TPO"を意識するだろう。
勿論自分も、まずは一旦冷静に考えた。しかしその上で、やはり今回相応しい格好は"パンクファッション"であると結論付けた。
これはつまり、新郎新婦が自分のバックボーンをよく理解してくれているから、そして自分にとっても新郎新婦がキーパーソンであるから、という背景があるからだ。結婚パーティーだからと言っていつでもどこでもこの格好をするわけではない。自らの正装を以てして、誠意を持って祝福したい二人だった、という訳だ。

幸いにも、当日会場に集まっていたその多くが音楽のカルチャー、パンクの文脈に理解ある人たちで、自分の格好を見るなり「これが一番フォーマルだよね」と言ってもらえたりした。
一歩外に出ればキワモノ扱いされ職務質問され…というハードルの高いファッションであるが、容姿の奥に潜む"意図"を汲んでくれる、理解ある音楽仲間が周りに大勢いるのは幸せなことだと思う。

尚個人的に「この格好で来て良かった」と思えた出来事は、両家のご親族が自分のパンクスタイルを絶賛してくださったこと。恐縮&光栄でございました。

改めて心から、ご結婚おめでとうございます。
これからも末長くお幸せに。そしてこれからも末長くよろしくね。


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