見出し画像

もう拾ったキノコなんて食べない

おはようこんにちは、マイコーです。

前回の記事ですが、ネット上で予想外に反響があり、大変驚いております。

いつもに増して偏った内容でしたので、書きながら自分の自己満足みたいなちょっとした罪悪感も否めず、このnoteを始めた趣旨とちょっとズレてるかもしれないし、いかんせん自分の好きなものの話ばっかりだからホント面白くないと思うけど、たまにはいいか…今日だけ……スンマセン……(汗)みたいな気持ちでした。

そんなこんな、ど深夜に公開し目を覚ましたら、通知が大変なことになっていました。

noteとツイッターのフォロワーが突然激増している!(寧ろ減らす才能の方があるはずなんですけど?!)何事?!と目をこすると、ツイッターのとあるフォロワーさんが私の記事を早々に読み、記事をツイートしてくださっており。

そのツイートの拡散数がたちまち伸びていたわけです。

その方は、ツイッター140字の文字数制限の中に、ドラマチックな表現でもって私の記事を要約しながら紹介してくださっていて、自分の事ではあるけれど、なんかすごくグッときてしまう文面でして。

考えてみれば、その方のひと声がなければ、ここまでにはならなかったと思うので、本当にその方ありきな話ではあります。
ですが多かれ少なかれ、結果的に私という人間に興味を持ってくださった方が沢山いらしたことは、大変嬉しく思います。

今までもツイッターでバズったことは度々ありました。
でも内容と言えば、道に落ちてる食パンの写真とか、色弱の友達が色補正眼鏡掛けて大喜びしてる(かなり演技がかった)動画とか、松茸だと思って食べたキノコが実は毒キノコで病院に運ばれた話とか、そんな他愛も無い感じ(他愛はあるか)でしたので、まあ、別に私じゃなくても良い、たまたまなんとなく面白くなった(なっちゃった)ような話が殆どで。

そのツイート見てフォローしてくれた人たちは、正直ハッキリ言うと私という人間にはそこまで興味ないわけです。当たり前ですけど。
これの虚しさと言ったらない。
だって私は面白ツイッタラーじゃないから。

だから本当に自分が聞いてほしい話とかすると、後から幻滅されるとかよくありました。

面白ツイッタラーとして間違った方向の期待を勝手に抱かれ、勝手にガッカリされることを繰り返してきたんですね。
クソリプも凄いしよぉ。(メンタル鍛えてくれたことには感謝してるよみんな!)

その点今回は、人目も憚らず自分の好きなものの話をこれでもかというほど喋り倒し、運良くそれまでの記事に自分の自己紹介もほぼ余すことなく記していたので、バズに乗っかりくどくど宣伝して自分のメンタル擦り減らすようなことをわざわざしなくとも、沢山の方が自発的に私という人間に興味を持ってくださった。

たいへん励みになります。

またnote内でサポートをしてくださった方が大勢いらっしゃり。
正直noteのシステムもまだよく把握しきっていない中の出来事でしたので、

さ、ぽ、ー、と、、?、、?あ、、あり、がとござ、、います、、、、、!!!!!!

みたいな気持ちでした。いやはや。今となっては本当に光栄なことと理解し、嬉しみをジワジワ噛み締めております。

この場を借りてお礼を言わせていただきます。本当にありがとうこざいました。

正直ビビり散らかしておりますが、変に肩に力入れても仕方ない(今回の記事も、誰にもウケないだろうというくらいの気持ちで書いた)ので、飾らず素直に書くことは続けていきたいと思います。

今後ともよろしくお願いします!

(前回に続き今回のヘッダーも、Kato Satsuki、さっちゃん!http://stk-xxxxx.tumblr.com/
わたしのアー写も毎回撮ってくれてる地元湘南の旧友です。ありがたいことに、私の周りには良い写真を撮る友達がたくさんいる。ありがとう!)


*****************

【本日のシットクリエイティブ】

『写楽BOOKS 日本国憲法』

装丁デザイン 松永真


憲法施行の35周年にあたる1982年に小学館から初版発行。

この類の専門書(法律書)は1〜2万部売れれば良い方だと言われているようですが、本書はなんと100万部という数字を叩き出した異例のベストセラー。

この頃はまだ今ほど改憲、護憲についての物議も差し迫ってはいませんでしたが、そんな中でも、憲法というとっつきにくく敬遠してしまいがちな内容を、人々に身近なものとして広めたいという思惑で出版された本です。

松永真氏はティッシュ「Scottie」のパッケージデザイン、女性誌「non-no」のタイトルデザイン、西友やバンダイ、ベネッセや東京三菱銀行のロゴデザインなど、私たちが日常的に目にする数多くのデザインを世に生み出してきたグラフィックデザイナー。


松永さんの作ったものは、誰もが一度は目にしたことがあるものばかりだと思います。

で、うる覚えですが、私がこの本を手に取ったのは小学校低学年の頃だったかと。

家にあったんだっけ、祖母にもらったんだっけ、それすらあまりよく覚えていませんが。

当時、別に憲法に興味があったわけではありません。いかんせん、憲法も何も知らない子供ですから。

しかし子供心に、すごく可愛い本だな、としっかり思った記憶があります。

白地に赤いドット、そこに日本国憲法とだけ書いてあるシンプルな表紙。

なんというかとことんポップで、もはや絵本のよう。とても憲法なんて難しいことを言おうとしている本には見えない。


パラパラと中をめくると、大きな字に、すべての漢字にルビが振ってあり、その下には全文中の全ての用語の解説が、実にわかりやすい文章で書いてあるのです。



そして驚いたのは、あいだ間に挟まれている写真の数々。

憲法の内容がどうこうだなんて何1つ言っていなくて、ただただ美しくて神秘的な写真。まるで写真集を見ているようなのです。


そしてその感想は今見ても変わりません。

後になってデザインを勉強してから改めて見ると、この本の素晴らしさが更によくわかります。

私は大学で、主に文字を扱うタイポグラフィを勉強していました。という背景もあるので大きい声で言いたいのですが、この本の文字に対する意識いかに素晴らしいものであるか。

本の装丁における文字の役割は本当に大きいです。

文字なんて一見とても地味なことに思えますが、例えばとある一文字がたった0.01ミリ上にズレるか、はたまた下か、で、そのページの全体の見え方、美しさは驚くほど変わると、これは断言できます。(これを俗にカーニングと言います。)

こんなこと普通に生活してたらなんとも思わないことですが、タイポグラフィに限らず世の中でつい人々の関心を集めるような創作物は、作られる過程で実はそこまで緻密に計算されているのです。

それがこの本では驚くほど洗練されているし、例えば余白の間隔ひとつとっても素晴らしいのです。やっつけ仕事ではないことは明らかです。

更に憲法読本という立ち位置において、日の丸という否が応でも様々に国の歴史を想起させるようなデリケートなビジュアルを、いかに扱うか。

このセンシティブな点においても素晴らしい答えを導き出しています。


まるでハンカチの柄のような表紙の赤のドット、これこそがその答えであり。

なんとスマートに、人を傷付けず体現できているんだという感動がありました。

実際、私も、15年くらいずっとこの本を持っていたのに、これがその日の丸であると気付いたのは去年くらいのことでした。笑

でもわかった時は心底鳥肌が立ちました。

一見何を表しているかわからないけど、よく見てみるとああ、なるほどね〜という具合にジワジワ分かる。

それが何を表してあるのか正直分からないけど、美しいデザインだからつい目がいってしまう。

この第一印象と第二印象のタイムラグって、洗練されたデザインのなかには必ずといっていいほど存在します。

全てのディテールを敢えて描き切らず、見る側に少し考えさせる余地を与える。デザインにはそうした二層の見え方がある方がグッと深みが増すはずです。


言わずもがな、憲法はかなりデリケートな問題ですが、この本のデザインは、読みやすい日本国憲法というものが大元のテーマです。

大半の人々が敬遠してしまいがちなものに、如何に嫌味なく興味を持たせるか。
すべてのエネルギーは、そのたった一つのシンプル且つ大きな難題のために向けられています。

無駄なものは全て削ぎ落とされ、本当に必要なものだけを、最高に美しくする。
引き算の美学だと思うし、松永さんのデザインにはその美学を節々で感じることが出来ます。

なによりも、作る側が見る人の気持ちに立っているのです。何かこう、斜に構えたフィルターは、全くかかっていません。

これこそ、「伝える」ことこそが大前提であるデザインの本質であると思います。

そして子供の時に感じたことが、いま大人になり理屈を伴って理解することが出来、いやあスゴイ!パズルがハマった!そんな感じです。

私の言葉では拙いところもあるので、本書にデザイナー・亀倉雄策氏が寄せたコメントを以下に引用します。


改憲論、護憲論がいくら渦巻いても、ちゃんと日本国憲法を読んでみなければ、なんのことかわからない。それなのに、ほとんどの人は憲法なんか難しいといって敬遠してしまう。ところが、今度、松永真のディレクションによって親しみやすく、読みやすい日本国憲法という本が出版された。そして今、ベストセラーである。一体、どこがこの本の魅力なのか、それを探ってみるのがこの展覧会である。私もはじめて憲法を読んでみた。立派な見識と格調高い文体に感動した。世界一の憲法ではないかと思う。松永真のディレクションのおかげで、私は日本の憲法に崇高な理想を感じた。(亀倉雄策)

内容どうこうよりも見た目の可愛さに惹かれてなんとなくパラパラ見るようになって、気が付いたら内容にも興味を持つようになる。

こんな人が増えたとしたら、それはデザイナーや編集者たちの願いが叶ったことになります。
デザインの力を感じずにはいられません。

すごいなあ。
なんて夢があるんだ!!!!!!!

で、この本、本当にお勧めです。
美意識の塊なので目の肥やしにもなります。
一家に一冊、あって損はないのでは。


日本国憲法―ピースブック (写楽ブックス) https://www.amazon.co.jp/dp/4093946116/ref=cm_sw_r_cp_api_2d3TBbDVXR8N4

…とまあ、こういう感じで今後もやっていきますので、何卒何卒〜〜〜。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?