真夏の夜の月へと
いったん自宅に戻って少しだけ荷物を軽くして、玄関を出る。
お昼と比べて暑さが多少マイルドになった夜道を歩く。
「もう21時過ぎているから、普通に家でゆっくりすればいいのにね。」
そんな言葉を構成する要素がフワフワと舞っているような気もする。
ただ、その要素はいつまでもバラバラのままで、一つのまとまった形をなすことはないみたいだ。
勝手に足が動いていくというのはこういうことなのかもしれない。
特に、いつもと違う何かがあるわけじゃないと思うのだけれど。
ふと見上げた先には、うっすらと全体を雲に覆われた月がある。
今日は、満月だった。
そういうことか。
明日から9月。
生徒さん達は2学期が始まる。
夏休みは毎日暑い中それぞれよく頑張っていたから、
疲れが出て体調を崩し気味の子もチラホラいる。
一人一人と沢山話したり、一緒にアイスクリームやお菓子を食べたり、遠くに住んでいる子にはお手紙を書いて送ったり。
そんな時間を大切にしながら、それぞれが何かしらのカケラを自分で見つけて拾い集めて成長していく姿が美しくて、
偶然の積み重ねで生まれたご縁に改めて深く感謝する。
かなり忙しかったような気もするし、途中で身体がもう無理かもと思った瞬間も何度かあったけれど、何だかんだ意外と今元気なのは、
私が受け取っているものが大きすぎるからなんだろう。
夜のコメダ珈琲は意外と席が埋まっていて、少し驚く。
メニューを開くと急にお腹が空いてきて、さらにびっくりする。
ついさっきまで、「最近、何を食べても何だかそこまで美味しいと感じなくなってきたな」なんて思っていたから。
小豆ミルクの『菫』をグルグルかき混ぜる。
コメダ珈琲に入ると、いつもこればっかり注文している気がする。
頭を冷却する、というのだろうか。
少し熱を冷ます時間が必要なことが増えているのかもしれない。
そうじゃないと休息の状態に上手く入っていけない。
昔と違って、ちゃんと眠くはなるのはありがたい。
寝室にあるガジュマルの写真を撮って父に送ってみる。
半年ぶりの連絡。
特に用事はない。
何となく思い立ってガジュマルの近況報告をしてみた。
この夏は葉っぱが沢山増えてくれたな。
数時間後に、昨年プレゼントしたガジュマルの写真が送られてきた。
昔から意外と気が合うんだと思うけど、言葉を介したコミュニケーションには適さない関係なんだろうなと思う。
玄関で我が家を守ってくれているサンスベリアにも水やりをする。
ついついガジュマルばかり気にかけてて、なんかごめんね、いつもありがとう。
少しだけバッハを弾く。
その後、ショパンの続きを考える。
しばらく触れる余裕が全くなかったけれど、戻って来ることができた。
何だかほっとする。
もうすぐ夏が終わる。
最後まで読んでいただいてとっても嬉しいです。ありがとうございます♡