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海の神、水の神

水球の日本代表がオリンピックに出場している。
うちの父上はなぜか大学生の時に水球部に所属していたらしく、体育学部のある大学出身の私でさえ練習も試合も生観戦したことがないのに、そんなニッチなものを好む人が身内にいたとは!という驚きもあり、実は出場をかけた予選からちょくちょく気にしていた身として毎試合チェックせざるを得ない。
とりあえず今のところローブが一番かっこよかったのはブラジルである。朝の仕度をしながら流し見ていたので定かではないが、試合前に羽織っている黒のフード付っぽいローブが格闘技的な雰囲気を醸していてこれから闘うというオーラが3倍増しくらいになっていた。

予選の時はそこまで気にならなかったのだが、いざオリンピック本番となり露出が格段に増える(と報道側は想定している)と、チーム、競技を国民へ浸透させるべくつけられたxxジャパンという呼称の露出も増える。
なでしこ(今回残念ながら出場していないが)、火の鳥、おりひめ、ムササビ、マーメイド、フェアリー、トビウオ。
後ろにジャパンとつかなくても、例えばラグビー7人制の女子チームのようにサクラセブンズといったものもある。考える方も重複やら何やら意識せずにはいられないし大変だと思う。

そして、ポセイドン。
水球はポセイドン。
ギリシャ神話の。

海洋の神様であり、地震も司るとWikiには書かれている。地震。
紀元前460年頃のものとして現在認識されている彫刻は女神(だいたいアテネとニケ)が多いのだが、そこにも何となく食い込んできていること、ギリシャ神話を読むとわかるが、ゼウスの次くらいに高い位にいる神様である。
ちなみにサモトラケのニケとしてルーブルに展示されているあの端正でパーフェクトな石像は、サモトラケ島からフランスが勝手に持ってきてしまったものだ。サモトラケ島の背景があるからこそのあの翼をひろげて降り立った瞬間が際立つのに(行ったことないけどサモトラケ島)。あと、あの翼の形とニケという名称を使ってるのがNIKE。

ポセイドンジャパン。

なぜポセイドンなんだという疑念はぬぐえない。海の神、水の神でもっとしっくりくる神様は八百万のこの国にたくさんいる。ほぼだいたいのPCで「わだつみ」と入力して漢字変換すると「海神」と出てくるように、訓読みがある=昔から使っていた言葉も残っている。
わだつみと聞いてだいたいのO-30日本人が想起するのが「きけ わだつみのこえ」かもしれない。この書籍がきっかけになったのかは定かではないが、わだつみ=戦没学生(若者)として結び付けられ、海神をあらわすよりもそちらが主流となってしまった。
水神は川、泉のそばに行けばだいたいそんな神様をまつった跡が神社等の形で残っている。私の家の近くにも水神橋というのがあり、それは隅田川神社という隅田川一帯の総鎮守としての役割を持つ神社に続いている(水の神様をまつっているからか、狛犬の変わりに亀が鎮座していてかわいい)。ただいかんせん、こちらは統一された像がほぼない。強いて言えば弁才天なのだろうが、この神様はまた後世にいろいろ付加されてしまって水の面は印象が薄い。

ということで、なんだよ日本の海の神水の神、となって締め切りも近いよどうしよう、ポセイドン様ーーーという経緯が人知れずあったのだと思う。思いたい。

ポセイドンジャパンに幸あれ。1勝して!

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