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問いを立てる力を育てる場所

子どもたちがこの春始めた習い事が、これまでやったどんな習い事よりも素晴らしくて気に入っている。

これからの時代に必要な力とは?ー「問いを立てる力だと思っている」その言葉を聞いたのは、子どもたちがこの春から新しく始めた哲学対話のオンライン「アリストテレスの窓」の保護者向け説明会だった。20年前の世界を思い返してみると、スマホはまだ無くみんなガラケーで、Youtubeも、Netflixもなく、私たちはMDに曲を入れて聞いていた。それを思うと20年後の世界なんて本当に想像もつかない。そんな世界では今の正解が正解とは限らない。だから、「今の正解を覚える」ことよりも「問いを立てる力」を身につけることが大事なのだと。

もう一つ問いを立てる力が大事だと思ったのはウクライナの人から聞いたこんな話からだったという。ロシアが攻めてくる前からテレビでは「危ないかもしれない」とは言っていた。だけど、みんな気にしていなかった。最初の爆弾が飛んできて初めて「しまった」と思ったのだ、と。もちろん全員ではないだろう。でも、そんな声があったのも事実だ。それを聞いて、平和を守っていくには、いろんな情報から「なぜ?」「これはどういうこと?」「どうすべき?」と自分で問いを立てて考えていく力を市民が持たないといけないと思ったと、アリストテレスの窓代表のまろちゃんは言っていた。その1時間の説明会は私の心にとても響いた。

アリストテレスの窓では学校では学ばないようなことを学び、みんなで話し合う。たとえば、科学のはじまり、世界の幸福度ランキング、命があるってどういうこと?ロボットとの違いは?、宗教についてなどなど。これまで、勉強なんて大嫌いと言っていた息子が初めての授業を終えた後にパソコンを閉じながら言った。「たのしー!!」実は、私の今年の初詣のお願いは「息子が勉強の楽しさに気づけますように」だったのだが、こんなに早く叶ってしまった。彼の口から初めて出た「学ぶことが楽しい」という言葉が私は何より嬉しかった。

今、そんな息子たちのクラスではCMづくりをしている。世の中にあるCMをキャッチコピーや時間を含め、どのように作られているのか研究して、自分たちでCMを作るというもの。子どもたちの会議を横で聞きながら、大人の企画会議と変わらないなと毎回驚いている。本当に私たちが仕事でやっている会議の会話と全く変わらないのだ。いかに自分のアイデアをその時間内に出せるか、そして他の人が言ったアイデアを元に化学反応を作れるか。ここで身に付く力はどの業界に入っても生きる力だと思う。

そして、それをナビゲートしてくれる先生たちの素晴らしさも忘れてはいけない。まず、クラスでは何度も「君たちは次の時代のリーダーになる人たちです。このクラスはリーダーを育てるクラスです。」と言ってくれるのが最高にいい。あんな風に何度も言われると誰だって自分はそういう人間なんだと自信を持てる。

そして、とにかく褒めてくれて、その褒め方には嘘がない。たとえば、息子が「キャッチコピーこういうのはどう?」と発言した時、先生のまろちゃんが言った言葉は「・・くそカッケー!!」。私は震えた。その一言を息子がどれだけ嬉しかったことか。学校の先生はこんな風には褒めてくれないだろう。言葉のチョイスが絶妙。とにかくそのキャッチコピーはかっこいい。しかもその最上級「くそカッケー!」だというその一言。ここで自分の意見を認められることを知った息子の自己肯定感はこの2ヶ月で爆上がりした。

娘はというと、いつも私(母)の意見を自分の意見のように話してしまうので、すごく良いことは言うのだけど、私(母)の意見ばかりで彼女(娘)の考えが見えてこないなと思っていた。それが、ここでたくさん「あなたの考えは?」というのを引き出されるので、とにかく自分の頭で考えた意見を言えるようになった!まだ、それに慣れていないので、話がまとまらなかったりするけれど、それこそが大事だと思っている。話がまとまっていなくてもきちんと聞いてくれる相手がいること。でも、まとまっていないことは自分でもわかっているので、どうしたらうまく伝えられるか、試行錯誤しながら言葉を組み立てようとしている。こういうのは場数しかないと思っているので、毎週その機会があるというのはありがたい。

「アリマドは学校と逆のことをします!」というのも、子どもたちが好きなポイントだ。食べ物を食べながらでもいいし、パジャマで参加してもいい。うちの子も時々、晩ごはんを食べながら受けている。

そうそう、自分を表現するツールが自由というのも魅力的だ。前回CMづくりの授業でロゴマークを考えていた息子たち。ノートに絵を描く子もいれば、ipadで作る子も。息子は「この曲聞きながらだと捗るんだよね」と言って好きな曲を聴きながら、capcutで作っていた(授業中)。学校だったら、決まったノートや紙に、決まったもので書くけれど、表現の仕方はその子によって違うとそれぞれの得意の中で、良さが出せるんだなと思った。

そんな訳でとにかく、このアリストテレスの窓が良すぎる。これからの時代に必要な学びが全て入っている。他の子との競争だけを考えるなら、絶対に人に教えたくないと思うほど(笑)だけど、いろんな人に伝えるのは、問いを立てられる子が増えて、社会が良くなれば良いと思うから。こんな場所が増えていけばいいと思うから。

今、クラスには中国、宮古島、東京、大阪、茨城、愛知など、全国・・もとい世界のいろんなところに住む子どもたちが参加している。その子達が一堂に会するキャンプが夏休みにあるという。うちの子たちは、それをこの夏何よりも楽しみにしている。


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