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生物多様性の体感

グリジャ畑のニホンミツバチの巣箱に
大スズメバチが来た。

怖くって本当は来てほしくなかったけど
本当の「生物多様性」を学んだ気がした。

街の中に生きている私たちは
他の生き物を怖いと思って気をつけることが
少なくなった。
怖いという気持ちを持ってはじめて
先人たちがその怖さを遠ざけたいと
できるだけ自分たちの生活の中から
不都合なものを排除してきた気持ちもまたわかった。

だけど、私たち以外の生き物は
こうしてみんな生きてるんだなとも思った。

共存していくために、
相手に攻撃されないように気をつけながら生きる。

大スズメバチがどこから来ているのかを見て
巣はあっちの方みたいだから
あっちの茂みには行かないようにしようと確認して
これまで通り、黒い服は避ける。ネットをする。

自分が自然に合わせる。

グリジャ畑はもう5年になるけれど
大きな事故も怪我もなくやってこられたのは
そういうのをみんなが守ってきたから
なのかもね、と話した。

最初の頃はしょっちゅう軍手を外したまま
作業しちゃって手を切っていた。
でも今、誰も軍手なしで作業をしたりしない。

虫に刺される度に首に手ぬぐいをまこう、
竹を持つ時は穴があいてないか確認してから、
黒い服はさけようと
ひとつひとつ学んで取り入れてきた。

5年間、知らないうちに
私たちは自然との関わり方を
身体で覚えてきたんだと思う。

そして、初めての大スズメバチ。

今まで以上に気をつけながら
みつばちの先生、たけさんの生態系のはなしに
いつも耳をすませる。

この前、娘が、わたしが他の作業に戻って
聞けなかったたけさんの話を畑の翌朝教えてくれて
「たけさんの話は最後まで聞いた方がいいよ。
もったいないと思う」
と怒られた。間違いないわ。
子どもたちの方がちゃんと聞いてる。学んでる。

5年前、取材で行ったパラオでであった
環境教育をしていたアン先生の言葉を思い出す。

「自然について知らない人が、
それを守ることなんて難しい。
それが一体どういうものかも
わからないものを守れと言われても、
守り方なんて分からないわよね。

だから子どもたちはまず自然について知り、
そこから学ぶ必要があると思ったの。
それで、教室から飛び出して、
自然の中に学校を作ったのよ。」

この言葉がきっかけで
グリジャ畑をすることを決めたんだった。

知識ではなく、
体で覚えていく。

これからも。

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