人生指南書「ユダヤ5000年の教え」から感じること

最初に言っておくが、自分は無宗教であるし、多くの日本人と同じように、クリスマスを祝い新年には神社へ行く。決まった神を崇めるわけでも、宗派ごとの規律を守るわけでもない。

正直言うと、数ある宗教の中でユダヤ教には興味があった。その次に興味がるのは仏教だが、今はユダヤの教えに首ったけなので、ユダヤ教に関して知れるものには目がないのが昨今の私。

そんな私の身の上を軽く知ってもらった上で、「ユダヤ5000年の教え」という本を紹介しようと思う。著者はユダヤ人であるラビ・マービン・トケイヤーさん。ユダヤ教の基本の教えであるタルムードや聖書から、分かりやすく、現実社会でも活きる内容を紹介している。

そもそもユダヤ教って何なのか?というところから言うと、「一神教を基にした宗教の一種」というのが、一番抽象的かつ偏見もない情報なのではないかと思う。

宗教と言っても狂信的ではないし、とても現実主義であるのが特徴で、神を崇拝しているものの、妄信的でないところに好感が持てる。

ユダヤ教やユダヤ人は世界各国にいるものの、全体の割合としてはとても少なく、少数民族である。アメリカでは全人口の二%ほどしかいない。

それにも関わらず、精神分析者や数学者など、名だたる権力的地位についているユダヤ人の確率は十%と高く、フェイスブック(現Meta)のマーク・ザッカーバーグしかりアインシュタインしかりスティーブン・スピルバーグしかり、多くの人が知っている著名人の中に名を連ねている

少数民族であっても世界に与える影響はでかい。それがユダヤ人であり、ユダヤ教なのだ。そしてユダヤ人には成功者が多い。

なぜ成功者が多いのか?

これにはユダヤ教の教えが関係しており、その内容のほとんどが、実用的かつ現実的な内容のため、今日に至るまで多くのユダヤ人の生活や思想の根幹を支えている。

そして本書は、そんなユダヤ教の教えをこの上ないくらい分かりやすく、そして現代版に解釈してくれているので、とても読みやすく理解しやすい。

ユダヤの教えについて話すととても長くなるので、ここではユダヤ人が作ったものに解説する。

ユダヤ人が作ったもの。それは

七日周期

一神教

義務教育

民主主義

金利

結婚指輪

そして現代で欠かせない

医学

福祉

裁判制度

これらの礎を築いたのもユダヤ人であるのだから、さらに驚きは増す。

現代社会に必要なもの、基本となっているものを作ったのがユダヤ人だと知ると、少しはユダヤ人に対して興味が湧いてくるのではないかと思う。

そして、こういった制度以外にも、人生における大事なことをたくさん教えてくれるのがユダヤ教の良いところで、現代では「ビジネスに活用できる!」と多くのビジネスマンや企業に注目されている

この本では「成功の法則」「貧乏と金持ち」「幸福と不幸」「知識と知恵」「賢者の言葉」「恋愛と結婚」「付き合い術」と、人生において無視できない項目に絞られて、簡潔かつ分かりやすく説明してくれている。

せっかくなので、ここでいくつか「まいへい的お気に入りの言葉」を挙げていこうと思う。興味が無ければ申し訳ないが、興味を惹く言葉ばかりなので、ぜひ読み進めていってほしい。

1.人はよその町では“衣服”によって判断される

これは本当に真を衝いているなと思った。知らない人と初めて出会ったとき、私たちは相手のどこを見るだろうか?表情やしぐさも欠かせないが、一番は“衣服”であろう。そして、衣服で相手の立場や価値を値踏みしているのではないだろうか。

2.カリフラワーに棲む虫は、カリフラワーが“全世界”だと思っている

日本版「井の中の蛙大海を知らず」ですね。

3.金持ちをほめる者は、“お金をほめている”のだ

お金を手にして自由を満喫している、お金で苦労していない、そんなバックグラウンドを垣間見ながら金持ちをほめる。これは無自覚であり、ほめられている側も、まさか自分ではなくお金がもてはやされているとは、思いもしていないだろう。

4.貧乏は“恥”ではない。しかし“名誉”だと思うな

しばし、お金がないことに対する恥じらいは発生する。それ故に皆、お金を稼ごうとするし、お金がなくても見えを張って後輩に食事をおごることがある。貧乏は恥ではないし、それを恥ずかしく思うことはない。だが、貧乏であることは、けっして素晴らしいことではないのだから、胡坐をかくのは良くない。

5.“したかったのにしなかったこと”のほうが、後悔が大きい

死ぬときに後悔することの一位が、「やりたかったのにやらなかったこと」であるのは周知の事実であろう。もし、「知らなかった!」という人がいれば、いまから心に刻もう。とにかく何でもやってみることだ。

6.客が咳をしたら、“スプーン”をあげなさい

文章だけを見ると「何を言っているのだろう?」となるのが、この一節。客が咳をするときとは、どんなときだろうか?イメージすると理解しやすい。舞台は家の客間。客は食卓を前に座っている。目の前にはたくさんの食事。そして、コホン、と咳をする。なぜ咳をするのか?客は咳をして「スプーンがないから食事ができませんよ」と伝えているのだ。つまり、スプーンをあげなさい、は言葉の綾で、「客(相手)がなにを思い、感じているのか常に気を配り、瞬時に判断しなさい」という教えがこの中に詰め込まれているのだ。

7.“心を耕すことは”は、頭脳を耕すよりも尊い

見るからに分かりやすいコチラは、「どれだけ賢くても、善行を行う者には勝てない」という意味合いがある。賢くなるために勉強をする者はいても、心を豊かにするため、善行を行うものは少ない。そして善行を行うものは賢人よりも秀でている、といった意味だ。

8.人は誰しも大人にならない。“子どもが歳をとるだけ”である

子どものような大人はたくさんいて、そういった人たちを見ると「いい大人なのに情けない」と思うものだ。しかしこれからはそんな風に思う必要はない。人類みな「子ども」なのだから。

9.嘘を口にしてはならない。しかし、“真実のなかにも口にしてはならぬもの”がある

知らぬが仏、とはこのことだろう。嘘以上に、残酷な真実の方がよっぽど重罪なのだ。

10.最も大きな苦痛は、“人に話せない”苦痛である

人は秘密を打ち明けたいし、たくさんのことを共有したいと思う。しかし、前述した“真実のなかにも口にしてはならぬもの”であればどうなるだろう?言いたいのに言ってはいけない。言うことで何か大変なことが起きる。そういった心労は大なり小なり全ての人が抱えているものだろう。

11.息子が結婚するときは、“母親に離縁状”を出さなければならない

数ある教えの中で、この教えを魅力的に思わない女性はいないだろう。ユダヤ教では「嫁と姑は上手くいかない」と皆が知っているので、面倒事を避けるためにも、結婚した男性は母親のもとを離れ、両親と屋根を分けて住むのが基本だ。だからこそ、息子を溺愛している母親がついてきて、自分の妻と対立しないためにも、離縁状を出す覚悟で結婚しろ、という戒めである。

12.あいまいな友であるよりも、“はっきりとした敵”であれ

フレネミーという言葉が以前話題になったほど、この「友の皮をかぶった敵は多い」ということなのだろう。仲良さげにしていても、なにかと自分を卑下してくる人、裏で悪評を流す人、足を引っ張る人、こういった人は敵である。そして、自分が相手に対して同じことをしていれば、潔く敵になろう。

13.評判は、最高の“紹介状”である

自分のことを良く言ったり、友人や親しい人物からほめて貰うことは容易い。しかし、見知らぬ誰かからの評判は、どんな紹介状よりも効力を発揮する。評判を得るには並大抵の努力では無理だ。だからこそ、日頃から素行に気をつける必要がある。

長くなったが、まいへい的お気に入りの教えを抜粋してみた。これらはほんの一部で、紹介しきれない魅力的な教えが本書の中に随所散りばめられている。

ユダヤ教に興味が無くても、「宗教の教えって怖そう」と思う人でも、この本は学び以上に現実を見せてくれる本となっているので、ぜひ読んでみて欲しい。

また、いま現在、生き辛くて悩んでいる人にとっては、目からウロコの情報がたくさん詰まっているように映るだろう。

多くの人が平和に生きられるように、本書を紹介したが、けっして宗教の勧誘ではないことを最後に強調して締めたいと思う。

以上、「ユダヤ5000年の教え 著者:ラビ・マービン・トケイヤー」より一部抜粋。





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