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文章を綴るための道具

 文章を綴ることが三度のメシより好・・・いやそれは言い過ぎか。でもたまに寝食を忘れるくらいには没頭することがある。調子のいいときは面白い(と自分では思ってる)文章がゴリゴリ書ける。調子の悪いときは上手くつながらない。

 恥ずかしい話なんだけど、私が文章を書くようになったのは中学生くらいのときで、書いていたのはなんと小説だ。ルーズリーフ(ヤダ懐かしい)を綴じたバインダーに見出しをつけて、複数の物語を作っていたのであった。どういうものを書いていたかはほとんど覚えていないのだけど、ひとつだけタイトルとあらすじを覚えてるヤツがあって「コジマヤヤコの場合」というダメ女とダメ男のラブコメディだった。

 完成?するわけないじゃない。

 どの物語も、最初の数行で止まったわよ。技術も知識も集中力もない若きわたしは、想像だけが逞しく、筆はぜんぜん進まなかったのよ。

 そんなわけで、昔から内にこもりがちだったわたしは、言葉として吐き出せずにいる事柄が、胸のうちにどんどん溜まっていき、それを文字にして吐き出すということを繰り返してきた。最初はノートに鉛筆で。次はワープロ(若い子には通じないかもなあ)で、そして今はパソコンで。

 自宅にはデスクトップのパソコンがある。部屋はそんなに広くないのでテレビも視聴できるものにしてスペースを節約している。たまにデザインをすることもある。音楽も聴く。もちろんネットも使う。いろんなことのできる箱の機能のひとつを使って文章を書いていた。

 ただ、この「なんでも出来る機械で文章を書く」という状態はあまりよろしくない。「ながら書き」が出来てしまうからだ。

 テレビを見ながら、音楽を聴きながら、ネットを見ながら・・・という状態だと、集中力はごっそり違うところに持って行かれて、まったく作業が進まない。でも、家にいたらやっぱり見ちゃうよねえ。テレビっ子だし(知らんわ)つくづく、パソコンは文章書くのに最適ではないシロモノだなあと思う。利点は書いてる最中に解らないことが出てきたらさっと調べられるということだけ。

 技術が進んで、便利な道具が出てくる一方で、いろんな機能が抱き合わせになっちゃってるので、ひとつのことをひたすら追求する人にとっては使いづらいのかも。

 文章を書く人にとって、昔のワープロって本当によかったと思う。文書を書き、保存し、必要があれば印刷するというだけのシンプルな機能だ。わたしの持っていたのはお下がりだったんだけど、今のノートパソコンくらいの大きさで、立ち上げればすぐに文書作成ができた。プリンタは一体型だった。今はないんだよね。中古のものしか販売していない。製造は10年以上前に中止になったみたい。寂しいね。

 ああいった、ワープロみたいなものはどこかで作ってないのかね?といろいろ探した。今や小型のノートパソコンでも高性能でいろいろ出来てしまうし、正直小さいと言っても気軽に持ち運びできるものではない。じゃあもう、ノートと鉛筆に戻る?

 そんな時に見つけたのが、キングジムの「ポメラ」というマシンだった。これ、キングジム的には「あくまでメモ用」といった位置づけで、例えば会議中にさっとメモを取るといった使い方をするために開発されたものらしい。電源を入れればすぐに打ち込みができ、本体メモリのほか、SDカードにも保存ができる。辞書も付いていて、解らないことはすぐに調べられる。機能はだいたいそれだけ。まるでワープロのようだ。それでいて本体はワープロよりずっと小さく、持ち運びしやすいのだ。

 これはいい。これはネットも見ることが出来ないし、もちろんテレビも観れない。おまけにどこにでも持ち運びできるから、時間があればどこでだって、思いついたときすぐに文章が書ける。

 実際、このポメラはビジネスパーソンのメモ書き用というよりは、物書きの文章を作る用にすごくウケているらしい。余計な機能は付いていないことがいいのだ。

 そして、わたしの手元にもポメラはやってきた。現行モデルの中では一番グレードのいいDM100というモデルだ。折り畳んだときのサイズは長財布を一回り大きくしたくらい。開くと自動で電源が入り、すぐに打ち込みができる。バックライトも薄暗い場所ではいい仕事をしてくれる。単3電池2本で動くんだけど、エネループも使えるので便利。文書を保存するときにフォルダ分けもできる。

 ポメラを手に入れてから、わたしは文章を書くのがますます楽しくなった。今はnoteの記事はもっぱらポメラで書いている。外ではもちろん、家でも。パソコンでやるより便利なのだ。

 本当にお世話になっているので、買って良かったと思う。

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