6.機種変するなら家電屋の側で

 今年のはじめくらいだったか、携帯会社から新しいスマホの割引クーポンが来ていて、それがちょうど欲しい機種だったので、いつも行ってるショップに機種変更をしに行った。

 その店は多くの人が立ち寄りやすい場所にあるからいつも混んでるんだけど、携帯ショップなんてどこもそんなもんだと思ってるし、いつもそこに行っていたので今回もそのショップに行ったのだ。

 行ってみるとやはり混んでたのだが、番号札を取って本など読んでいると、思ったより早く呼ばれた。機種変更をしたい旨をスタッフに伝え、クーポンを出した。機種の決まったクーポンなので、話はスムーズに進むはずだった。

 ところが、対応してくれた店舗スタッフの女の子が「今回から料金プランが変わります」と言う。何故なのか。

 わたしの場合、もともと持っていたスマホが3Gで、新しいのは4GLTEなのでプランが変わると、おおかたそういった説明だった。

 ちょうどその頃は月々のデータ通信料と無料通話のセットという料金プランが始まった頃で、わたしのキャリアはauなので「カケホとデジラ」というプランがそれにあたる。データ通信料が月々使うギガ数によって細かく料金が設定されているというなんだかよくわからないプランなのだった。

 ちなみにそれまでは、名前は忘れてしまったけど、データはほぼ使い放題で定額のプランだった。プランが変わるのは想定外の事だったので下調べもしていない。そんなわたしをよそに、スタッフはわたしの月々の通話やデータ通信の使用状況をさっさと端末で調べ「お客様はこれからこのプランになりますね」とその画面を見せた。

 かけ放題+データ通信8ギガ=約9000円

 なにこれ高い。今までは5000円くらいで済んでたのに。月4000円の差は大きい。でも、この機種欲しかったヤツだし、ここで諦めて帰るってのはなあ…。

 あまりのことにショックを受け、しばらくだんまりこいてた(コラ)私だったが、プランはその一択なのか聞きたくて顔を上げるとスタッフの女の子が早く決めろよってな表情をしていた。

 顔が笑ってない。怖い。

 説明も矢継ぎ早だし、こちらの質問を受けてくれるような感じではない。あまりの剣幕に怖じ気づき、まあスタッフさんがそう言うなら間違いないんだろうと諦め、無事機種変とプラン変更は終わった。

 そして、家に帰って「新しいスマホをいじり倒しタイム」を堪能し、落ち着いたところでやっぱり納得いかない感がこみあげてきた。なんなのあのスタッフ。忙しいからってあれはないんじゃない?あの料金プランだって本当にわたしに最適なものかわかったもんじゃない。

 なので、早速この料金プランが妥当なものであるか調べた。まず、月々使っているデータ量の割り出し。今まで使い放題みたいなものだったから、そもそも気にしたことがなく、調べるのはこれが初めて。今は紙の請求書ってのがないんで、使用状況を詳しく見るなんてことはなくなっちゃったんだよね。

 で、調べてみると、わたしは今までせいぜい月3ギガを超えるか超えないかくらいの使用量だったのだ。これをその「カケホとデジラ」に当てはめると、何も8ギガも必要なくて、3ギガか5ギガのプランでいいのだとわかった。もちろん、ギガ数は少なければ少ないほど料金は安い。

 そして、プランは「カケホとデジラ」しかないのかということも調べてみると、通話はかけ放題じゃないけど、データは7ギガまで使い放題の「LTEプラン」というのがあることがわかり愕然とした。これも結構安い。このプランもあるってあの人言ってなかったじゃん!

 わたしは正直、かけ放題は必要ないのだ。都度課金でいいよ。電話で話すのニガテだし、知り合いもその事は知ってるから、連絡はもっぱらメールだ。それを踏まえれば、わたしはこの「LTEプラン」にするのが一番安上がりだ。

 それは、今までの使用状況を調べればわかったことなのに、あのスタッフは(まあ忙しくて余裕がなかったのはわかるんだけど)およそ検討違いなプランを差し出してきて、こちらが口出しする間を与えもせず流れ作業的に切り替えしてしまった。結果、月額使用料が4000円も上がってしまったのだ。

 あまりにひどすぎる…!

 今すぐプランを変えたい。月4000円上乗せってことは、一年に換算すれば48000円も多く払うと言うことなのだ。そう思ってネットからプラン変更の手続きをしようとするも「カケホとデジラ」から「LTEプラン」への変更は、ショップでなきゃできないらしい。

 どうする?

 もうあのショップには行きたくない。ショップのリストを見て、別のところを訪ねてみる。一軒目はやっぱり混んでてダメ。二軒目で運良くそんなに混みあっていないショップにあたった。

 そこは、別に立地が悪いと言うわけではなく、周りに家電量販店があるので客がそっちに流れているのだろう。ここなら落ち着いて相談ができそうだ。応対してくれたのは男性スタッフだった。

 このスタッフ相手に、この間別のショップで機種変をしたんですけどうんぬんと事情を話したところ、その人はわたしに対し「不手際がありまして、大変申し訳ありませんでした」と頭を下げたのだ。

 その後も、プランについて丁寧に説明してくれ、わたしに合うプランも2つ用意してくれて、そこから選ぶことに。やはりあの「LTEプラン」が一番安かったのでそちらに変更。機種変前と比べて1000円上がりはするものの、目玉飛び出るような値上がりは免れたのだ。

 その男性スタッフは、お金払ってくれるわけでもない利益にならない客でも、たいへん親切にしてくれた。感動したので名刺をもらっておいた。しばらくはないだろうけど、今度携帯を買い換えるときはこの人から買いたい。自分もこんなふうに、仕事中はお客様に親切でありたいと思った。

 それにしても、わたしは危うくぼったくられるところだったので、そのことに対する怒りはおさまらない。事の顛末をTwitterでつぶやいたら反応したフォロワーさんがいた。

 「そりゃあ大変でしたね。わたしはこの間、巣鴨のショップで機種変したけど、やっぱりおじいちゃんおばあちゃんが多いからなのか、すごく丁寧に説明してくれました」と言う。

 なんていいところなんだ巣鴨。わたしはもうそろそろそういう場所に移り住むべきだろうか。

 と言うわけで、機種変をするときはぜひ、家電量販店の側にある携帯ショップをおすすめしたい。

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