1.金銭感覚の違いに泣く

 飲み会に呼ばれた。会費という形じゃなくて、合計を人数で割りましょうといった形式の会。行ってみたらなかなかいい雰囲気で、料理も美味しく、久しぶりに会う人たちと、まあ限られた時間だけど食べ飲みしながら語り合ったわけさ。

 で、宴もたけなわ、といったところで会計をする。幹事がまとめて払い、人数で割る。「はいじゃあ・・・ひとり一万円ね」

 ナヌ?いちまんえん?

 なにそのブルジョワな値段。アナタわたしの財布の中にそんな大金が入ってると思ってるの?

 念のため財布の中を改めると、五千円しか入ってない。大幅に足りない。でもみんなはなんの抵抗もなく万札をぱっぱと出していく。

 ええええ?足りないのわたしだけ?

 すごく恥ずかしい。恥ずかしいんだけど、ないものはしょうがないので、「ごめん、五千円しかない」って言ったらば、お酒飲んでないからいいよーって許して貰えた。わたしは酒弱いのだ。みんなは飲兵衛。そこでもう疎外感いっぱいなのだが、それ以前に、わたしはみんなとの金銭感覚の違いに愕然としてしまった。

 なんで飲み会に一万円?飲み会なんて高くても五千円で間に合うと思ったから、わたしは財布の中にそれしかお金を入れなかった。わたしの中で飲み会なんてせいぜい三千円で済むものなのだ。

 飲み会というのは、飲める人のためのもの。わたしは飲めないし、そうなると楽しく酔っ払うこともできないので二次会以降は出ない。だから想定外の出費とか、それまではありえなかったんだけど、まさか一次会で一万円とは・・・ああ、この人たちとわたしは金銭感覚が合わないな、と思った。

 そもそも住む世界が違うのだなと。身の程を知る、とはこのことを言うのだな。確かにみんないいとこに勤めてんだもんな。わたしのような底辺会社員とじゃ釣り合わんよね・・・・。たぶん、彼らのほうが世間的にはマトモなんだろうな。40歳ちょい前なら、飲み会で万札をぱっと出せるほうがあたりまえということなんだろう。ああ恥ずかしい。

 これね、同じ会社の人とか、同じ業界で働いてる人とかだったらほぼ大丈夫なんだけど「同じ趣味」とかで集まった人たちの場合、本当に危ないね。歳も収入もバラバラなんだし。それ考えたらひとりでできる趣味探したほうがいいのか・・・なんと寂しい。

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