4.ポイントカードの悲劇
本屋で、おばあちゃんが店員からポイントカードの説明を受けている。
そのポイントカードはもらったあと、ネットでも登録が必要な種類のヤツで、おばあちゃんはすっかり困った様子でその説明を聞いていた。
ポイントは貯まれば本を買うときに値引きとして使えるが、そのおばあちゃんにとってはネットがどうの、登録がどうのというのはもはや意味がわからない世界なのだ。なぜ紙のカードにスタンプ押すだけじゃダメなのか。
そもそもポイントカードって、必要なのかな?
ポイントカードはもはや好ましい存在じゃなくなった。どこもかしこも導入するから、作るだけ作っちゃえば財布の中がパンパンになってしまう。その中で使うカードなんてほんの数枚しかないのにね。それでも我々は、もったいないという精神からなのか「ポイントカードをお作りしますか?」と言われたら作ってしまうのだ。
カード用の小さなファイルを別に用意し、すべてのカードを収めていく。わたしにもそんな時期があったが、結局そんなファイル、持って出かけないなあ、と思ってからもうポイントカードはほんとによく行く店以外のものは作らないようにした。今持ってるのは行く頻度が高いドラッグストアのが一枚。それだけ。
ポイントがある程度貯まる保証があるのならお得なのだろうけど、めったに行かない店のカードは得にならないばかりか損になることさえ考えられる。
本末転倒だけど、ポイント貯めるために大して必要のないものを買ってしまう可能性があるから。これは悪循環だ。服屋とか、特にそう。でも、店員は力一杯ポイントカードをすすめてくる。持ったらいいことがあると推してくる。もちろんそれは今後もこの店に通ってもらうための作戦なのだが、それにつられてはいけないなあと思う。
服を買いに行くときに、ポイントがつくから、じゃなくて、あの店の服が好きだから、という意識をちゃんと持っていたいのだ。消費者と販売者のいい関係はポイントカードによって壊されてはいないか?
しかも最近は、冒頭のような、ネットで会員登録するタイプのカードが増えてきてさらにやっかいである。あれも店側としては個人情報が欲しいってことが一番でやってるように思えてしまうので、あんまりいい感じはしないんだよなあ。
しかも、すべての人が登録できるわけじゃない(やり方がわからなかったり、そもそもネット環境がなかったり)から、なんか不公平だよね。堂々と客を選んでる感じがしてね。
毎回毎回、「カード作りませんか?」って聞くの、そろそろやめてもいいんじゃないかな。中には確かに持ってると得になる層の人もいるんだろうけど、作りたい人だけ作ればいいじゃない?レジ横に「ポイントカードあります」って貼り紙するだけで充分じゃない?
これからどんどん高齢の消費者が増えていくのだから、高齢者に優しくないサービスはないほうがいい。おばあちゃん、そのカード、わたしは作らなくってもいいと思う。
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