仕事って楽しいものだったんだっけ

 NHKの「ひよっこ」を初めて観た。普段は既に出勤してて観られないのだ。

 じっくりは観なかったけど、主人公がお盆休みなのか勤務地を離れ里帰りしてて、ここは確かに自分が生まれた家なんだけど、でもなんか違うなあって感覚を抱いて、早く戻って仕事がしたいと願うって内容だった。

 自分にとっては親元を離れ働くこの町こそが「我が家」だと。で、休み明け職場であるレストランに戻り仕事を再開して「仕事が楽しい!」って笑顔になる。めでたしめでたし。

 これを観て、わたしは「仕事って楽しいものだったっけ?」と思ってしまった。「ひよっこ」だけじゃなくて、朝のテレビ小説で「お仕事」をメインに取り上げてるドラマは、主人公が働いてて本当に楽しそうだ。

 わたしはあったかな、そんなこと。

 正直、今は楽しくない。朝出勤して夜退勤するまでずーっと外にも出ずに画面を見っぱなしだ。体を動かさないからどんどん弱っていくし、汗かいてスッキリしたとかいう感覚もないし。

 そりゃあ、仕事がいつも楽しいってのは嘘っぽい。楽しいときも苦しいときもあって当たり前なんだけど、果たして楽しい瞬間がここ数年であったかって聞かれると頭を抱えてしまう。

 同じことの繰り返しで特に変化も達成感もないまま数年が過ぎたと言った感じ。

 今の仕事に就く前ならどうかと思い返せば、20代の頃デパ地下で売り子をしていたことがあって、年末、おせちに使うような食品(伊達巻やかまぼこやなると。まあ練り物だ)を売る催事に入ったことがあって、あれは楽しかった。

 当時、今以上に人とかかわり合うことがヘッタクソだったわたしにとって、対面販売などは性に合わないし、苦痛をともなうものだったけど、その催事は、なんというか「お祭り」みたいなものだった。

 時期が時期だけにかまぼこも伊達巻もよく出る。こっちが特に巧みなセールストークなんてしなくてもじゃんじゃん売れる。わたしは先輩の販売員さんと一緒に、ただ声を張って、ちょっといいかまぼこや伊達巻があるって呼び込みをすればよかった。その叩き売りみたいな雰囲気がとても楽しかった。

 あの催事での仕事は「くるくるとよく動く」って表現がぴったりだった。お客さんの対応やお金のやり取り、商品の補充。楽しいかどうかなんて考える余裕もないあの状態が楽しかった。

 きっとわたしは、大きな仕事を長い時間をかけてやるってことには不向きなんだと思う。その仕事が特段好きでもないならより苦痛に感じてしまう。

 好きじゃなくとも、たくさんあるタスクを次々片付けていく仕事なら「楽しい」と感じられるのだと思う。

 対面販売なんて、今もなんだか消極的なわたしにはできんなあ…と思うんだけど、それでも毎日変化のない中では恋しくなるときもあるから不思議だ。度々売り場に立ちたいな、と思うもん。

 好きじゃなくても仕事は楽しくはできるらしい。相性がよければ。

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