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カッコいいは難しい。

カッコいいって何だろう?

まあ、好き嫌いの話といえばそうなのだけど、私は顔にペイントして、制服みたいに同じシャツ着て踊るサッカーファンをカッコいいとはあまり思えない。阪神ファンのメガホンやジェット風船がカッコいいかといわれれば、決してカッコよくはないし、むしろ野暮ったいのだが、それは“許せるカッコ悪さ”なのだ。自分にとって。

この境目は何かというと、恥ずかしさの沸点なのである。

たとえば、高倉健の仁侠ものは様式美すぎて照れるけど、仁義なき戦いのヤクザたちはカッコいい。文太の前でカッコつけていた松方弘樹が、文太がタバコを吸おうと、背広の内ポケットに手を差し込んだとき、拳銃を取り出そうとしたと勘違いしてオロがくる松方にも見られるように、セコさや狡さも全面に出したヤクザは、そのカッコ悪さがカッコいい。
だから容姿端麗で有能なのにダメ人間なシャアは、カッコいいのにカッコ悪い。転じてカッコ悪いからカッコいい、

いまだに“アホ”な坂田利夫はカッコいいけど、画家・鶴太郎は恥ずかしい。貧乏はいいけど、貧乏クサイのは嫌、いなかもんはいいけど、いなか臭いのは嫌なのとちょっと似ている。この恥ずかしさの沸点は人によって違って当たり前。でも、この沸点のゲージが近似値でないと、なかなかカッコいいをわかりあえないからナンギ。

ブログ「パーラー永浜商店」より加筆転載。

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