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空気階段の単独ライブ「anna」を観た

空気階段の単独ライブ「anna」を観た。笑ったあとに割としっかり泣いた。

ひとつひとつのコントはもちろんおもしろかったのだけど、annaには「これおもしろいでしょ」以上のメッセージがあって、それがいい映画を観たあとのような感動につながっていた。

(賞レースは音楽フェスやCMのようなもので、単独ライブはワンマンライブやアルバムのようなものだなと、お笑いファン新規としてはしみじみ実感した。)

annaのメッセージは、「まともじゃないこと」や「好きなものがあること」への肯定だと私は解釈した。世間から”まともじゃない”とレッテルを貼られるような人たちが、あるものを介してゆるやかにつながっていく構成に、それはもうグッと来た。

annaの感想の中に「人間讃歌」という表現をちょくちょく見かけた。私は人間讃歌というのは、人間のことを尊い存在だと考え人類全般への愛情や優しさがあるひとが、人間の素晴らしさを歌ったものだとイメージしている。

私は空気階段のコントは人間讃歌とはちょっと違うと感じていて、「人類の価値や素晴らしさなんてそもそもあるのかないのか知らないけど、こういう人たちがいてもいいでしょ」という感じの、人間を”讃える”というよりは”アリとする”とか"よしとする"という表現の方が近いんじゃないかと思っている。そもそも人の価値に貴賤なんかなくて、もっとしょうがないものでしょ、という。そうゆうところが好きだ。

annaの登場人物たちは、おそらく自分と世界の折り合いをうまくつけられずに「ここは自分がいるべき場所じゃない、どこか違うところに行きたい」と感じたことがある人たちだと思う。だからこそ、好きなものがあることや人を好きになることの素晴らしさ、かけがえのなさのようなものが迫ってくる。なにかを好きになるということは、自分の外側に居場所を見つけることなんだなとしみじみと感じた。ここじゃないどこかへ行きたいと感じたことのあるすべての人たちが、自分を肯定されている気持ちになる、そういう単独ライブだった。なんだかすごく優しくしてもらったような、うれしい気持ちでいっぱい。

こんな素晴らしい作品をつくってくれた空気階段とすべての裏方の方たちに、ほんとうにありがとうございます。

たぶんDVDも買っちゃうんだろうなー。


すっっっっっごいうれしい!