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十五歳

モモと絵を描く幸せな時間。
モモが呟く。
「学校行ってたら良かったよ」
「何でも一生懸命やれば楽しかったんだって気付いたよ」

その中で私への不満もあった。
どうしてあの時…
もし勉強をずっとやらない子だったら…

モモには不満はあるだろう。
いつかなじられても仕方ないとは思っていた。
そんな悪い親だった。
祖父母の助けを借りて生き延びてきた。

二人共この歳まで無事に生きていたことに感謝だなぁ。
もしどこかに戻れるとしても戻りたくはないし。
私はもうどこを頑張って良いか分からないくらいに頑張ったし。
頑張りが間違っていたとしてもそこに気付けなかった。

何を言っても自己弁護にしかならないけれど。世の中にはどうにもならないからそうなるしかない事があるのだと知った十五年だった。

急激にモモは大人になって、ペラペラと自分の「感情」を話すようになった。

うん、「人間」だな。
こんな日が来るとは思わなかった。
何にも伝わらなかった辛さや孤独感が氷が溶けるように私の中からなくなって行く。

同時にモモは過去を苦しみ、悲しみ始めた。
そんな感情はモモには今までなかったろう。
私への愛情も溢れ出すくらいに感じる。
初めて感じた思い。

モモの悲しみや苦しみそれは全てが私のせいなのだと思うと申し訳無さとそして今まで感じられなかった愛おしさでいっぱいになる。

人間になったモモ。
モモをぎゅうと抱きしめた。
初めて我が子を抱き締めた愛おしさを感じた。
ここにこの子がいるのだと。

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