クイティウ屋のお姉さん

土日月の三日間、すべき作業が進んでなくてちょっと停滞ムードなんだけど、コンポントムはそんな私に毎日一つずつ小さな奇跡をくれる。

今日のこと。

仕事の根詰めすぎて晩御飯を作りそびれた帰り道。市場はもう営業終了。
どうしようかなーとチャリってたら、いつも行くクイティウ屋のお姉さんとばったり、コーヒー屋台の角で遭遇。

我が家の行きつけの美味しいクイティウ屋さん。
穏やかなお母さんと、物腰柔らかだけど気っ風のいいお姉さんが自宅の前でやってる家族経営の店。
息子が、ほぼ同い年のお姉さんの末娘ちゃんとおもちゃ取り合っても、椅子の間でかくれんぼしても、温かく見守ってくれる。
私が一人で行く日には、「あら、一人?ボーイが来ないと静かすぎておもしろくないわ〜」と笑ってくれる。

お姉さんバイクを隣に寄せてきて、
「あら、ボン、今日は、ボーイはきてないの?ご飯食べた?」と。
クメールの日々の会話で食事の話題はもっとも優先度が高い。
「まだ。今日一人だから、遅くなっちゃった。どこかで食べて帰ろかな。お姉さんとこ、夜ご飯はやってないもんね〜」と答える。

すると、ちょっと考えたお姉さん、
「うちにおいでよ。さっき買ってきたいい魚があるから。」
と言って結婚式帰りのバリバリメイクでサクッと魚を揚げてくれた。「常連さんだけよ〜。夜も営業してくれって言われるけど、朝3時からスープ仕込むから余裕なくて」と笑いながら、家族で食べてたバナナも持ってきてくれたりして。
「今日は朝から2時過ぎまでずーっと忙しかったの。そして、ちょっと結婚式に顔だして、そしてボンが最後のお客さん。」と笑いながら隣に座る。

そのあとひとしきり、お姉さんの経営哲学や早朝の仕込みにかける思いを聞きながら、揚げ魚で晩ごはんをいただく。
「オープンしてどれくらいなの?」
「そろそろ1年経つくらいかな」
「最近混んでるよね。まあ、美味しいからなぁ。その割に安いし。」
「最近は、結構いろんな人が通ってくれるようになったわ。週に5日来てくれる人たちもいるし!常連さんはね、大事にしたいの。そうやって通ってくれるから、私たちも落ち着いて商売できる。自宅の前でやってるから値段も高くしなくていい。何より家族でやってるから、儲けることより、長く続けられることのほうが大切なの。」

お金払うよ、もちろん!と勢い込んで言ったのに、でっかいお札しかない私に「次来た時でいいわ」と爽やかに微笑む。

今日もコンポントムに生かされている。
大地に根を張り、立つ人たちは、見ている景色が豊かだ。
そして、こういうかっこいい人に、ぽろっと出会っちゃうから、やっぱり世界は美しい。

サポートいただいたら、私たち家族とその仲間たちのカンボジアライフがちょっとほっこりします☆