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「参考までに太刀の写しの価格」を聞いてみました

2022年6月頭「関鍛冶伝承館」へ「みじかがたな」展を観るために行ってきました(最初は「外は暑いから涼しそうな所へ行こう」でした)。

お昼過ぎに到着しましたが、この日は午前午後とイベントをやっていたので関鍛冶伝承館の駐車場に車を停めることは出来ないと思っていたため近くの「関テラス」の駐車場へ。
ただ、こちらの「関テラス」でもイベントをやっていたので子供連れが多かったです。

関鍛冶伝承館に到着すると「カンカン」と音が聞こえますが壁に囲まれているため何も見えません。
何年か前に来たときはフェンス(?)越しに見えるようになっていたので改装されようです。
今のうちなら人も少ないと思い中へ入ります。
ちなみにJAFの会員証(アプリやカード)を提示すると入館料が団体の価格になるようです(ちなみに割引後は大人ひとり250円でした)。
気づきやすい所に案内を置いてくれていたので嬉しいです。

1階で友人とパネルや映像を観ながら、どこから刀鍛冶が関に集まってきたとか、貿易に日本刀が使われていた(輸出されていた)時期があったとか、あれこれ話しているとイベントが終わったのか人が増えてきました。

2階へ向かおうとしたところ「刀剣なんでも相談コーナー」があり、ふと「太刀の写しを造ってもらおうと思ったら、どの位するのか」と思い。。。
人もいなかったので聞いてみることにしました。

→参考までに聞きたいのですが太刀の写しを造ってもらおうと思ったら、どの位の価格でしょうか?

相談コーナーのおじさん(以下「おじさん」)
来○○(忘れました)? ○○? 江?

→安綱です

おじさん→伯耆安綱?

→はい

おじさん→(ちょっと考えて)。。。時代は解ってる?

→平安時代です

おじさん→(解ってるなら言うけどね、と言う感じで)写しを造っても「それっぽい何か」にしかならないよ。本物になるわけでもないし。
 それでも良いなら刀匠さんを呼んできてあげるから聞いてごらん。

と呼んできてくださいました。
まだイベントが終わったばかりだったのもあって今回は直接、聞くことが出来たようです。
そして来てくださったのは年配の刀匠さんでした。

刀匠→(開口一番に)童子切か?

→違います

刀匠→そうか、それなら太刀だと大体250万位からだけど長さは何尺何寸だ?

→(ざっくり聞ければ、と思っていたのでスマホを出して検索します。私は写しを造ってもらうなら「鬼切安綱の写し」と思っていました。そして待たせてしまっているのもあって気持ちは焦ります。焦れば焦るほど、なかなか見つかりません。。。で、やっと見つけて)89センチです

刀匠→そんなにあるのか!
 それだと300万だな!!
 10センチ位で価格が変わってくるから、そんなもんだ。
 それから安綱だと、そこにいる人(別のおじさん)が磨くのが大変だな(笑)

→(「安綱は磨くのが大変なんだ」と思いながらも相談コーナーのおじさんに言われた「そんな感じのものにしかならない」と言う言葉が頭から離れず)ありがとうございました(_ _)

と、お礼を伝え今回の「みじかがたな」展が開催されている2階へ。

関鍛冶伝承館のパンフレット

キレイな短刀が沢山ありました。
が、徳川美術館で観た国宝と比べてしまうと「違いがある」のは解りました。
捉え方だとは思いますが。。。
関鍛冶伝承館は「刀という文化」を残すためにある、と思うので観に来た人たちが「いろんな造りの刀があるんだ」ということが伝わるのが大切なのではないかと思いました。
国宝や重要文化財を観たければ、お隣の愛知県にある徳川美術館へ行けば観られますし(時期にもよるので展示されていない事もありますが。また尾張徳川家の所有物なので刀以外にも素晴らしい物が沢山あります)。
そう思うと東海地区は身近な所で気軽に沢山の刀を観ることが出来る地域なのかも知れませんね(この記事を書くまで全く気がついていませんでした)。


今回、聞いて思った事

相談コーナーのおじさんに「そんな感じのものにしかならない。本物にもならないよ。」と言われた言葉が、どうしても頭から離れませんでした。
確かに、当時と同じ原料を使って同じ作り方で再現出来るわけではないので「そんな感じのものにしかならない」のは理解できました。
「なんとなく聞いてみよう、と思っただけ」でしたが思っていたより考えさせられました。
懐かしいように感じる刀(北野天満宮の鬼切)の写しを造ってもらっても、それをどうしたいのか考えてなかったですし、何か宿るわけでもないですし(仮に宿るとしても何年かかるのでしょうね)。
ぐるぐる考えて「写しを造ってもらうより私好みの刀を造ってもらう方が良いのでは?」と思うようになりました。


おまけ

相談コーナーへ刀匠さんが来てくれたとき開口一番に「童子切か?」と聞かれた、と書きましたが実際は「童子切か?童子切か?童子切か?」と少し興奮気に何回も聞かれました。
「安綱=童子切(天下五剣)」と言うことなのでしょう。
私が童子切ではない事を伝えると「なんだ違うのか( ´△`)」と言う感じでしたし(少し、がっかり感が伝わってきました)。

そして私が鬼切安綱の長さをスマホで検索している間、刀匠さんたちは「(太刀の写しを造る価格の250が)これだけあったら皆で焼き肉食べながら美味しいお酒を飲めるなぁ」とか「いや、もっと良いものと良いお酒も行けるだろう」とか楽しそうに話をされていました。
ぱっと見た感じでは「年配のおじさん(60歳は過ぎてる)」だったので「元気だな」と思いました。
確かに刀を打つのに体力が必要なのを思えば、その位の元気は必要なのでしょうね。
造ってもらう機会があったら、おすすめのお酒一升(差し入れ)と共にお願いをしようと思います。

【追記】

鬼切安綱の長さですが「待たせてはいけない」と焦って検索していたため「89センチ」は、どの長さを見て伝えたのか覚えていません。。。
後から「私は一体、どの刀の長さを見たんだろう」と思って再度、検索してみましたが見当たらず。
だいぶ後になってから思い出したので検索履歴を探すには遅すぎて見つけられず。
結局、どの刀の何を見て伝えたのか不明なままです。。。
あくまで「参考に」とは言え焦りすぎるのは良くないですね。




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