未映子1

比べたり比べなかったり

川上未映子のエッセイで好きな一節があって。小さい頃、遠足で歩き疲れた彼女がぐずったら先生が、「疲れとるんはお前だけとちゃう。はよ歩きい」と言ってきたのに対して、『私が歩きたくないのと、ほかの人もつかれてんのと何の関係があんねん!!』と嚙みついたっていう話。僕これね、すげー大事な感性だと思うんです。みんなもつらいから、あなたがつらいのもふつうのことよって、ものすごく怖い論理で、それに小1くらいの感性で噛みついてるこの感性、スキなんですよねえ。あ、拡大して解釈評価してますけど、この話に関しては「歩きい」が正しいと思うけどねw

結局、相対か絶対かみたいな話になったとき人がやりがちなのって、『自分が不利になる比較は”比べんな関係ないし”というくせに、自分が有利になる比較は”なんとかちゃんももらってんのにずるい!”という』というのがアンフェアで破たんしてるってことなんだと思う。未映子ロジックで歩きたくないというのであれば、もし仮にこの後自分以外にお菓子かなんかが振る舞われたとしてもそれを欲しがるのはアンフェアよってこと。「ほかの人がお菓子食べてるのと、あんたが食べれるかどうかは関係ない!」ってことになるので。

『自分の戒めになることは相対比較し、自分が悦にいれるようなことは比較しない』ってほど、ストイックに生きなくていいと思うけどさ。でも、ご都合主義な相対~絶対のギアの入れ違いはほんとやってしまいガチなのですが、そのたびにこの一節が思い浮かぶわけでした。

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