山岸隆氏の命日に思う事　その２

わたしが好きな忌野清志郎というミュージシャンが居る。
彼は、２００６年ガンで入院して、２００７年に退院、 そして、今年の春、完全復活を宣言、 ツアーやコンサートを再開していたが、また再発し
現在入院中だ。わたしは、彼がＲＣサクセションを始めたばかりの アコースティックだった頃からのファンで、 １９７０年代の終わり頃から大阪のライブハウスで見ていた。
お客が１０人ぐらいしか居なかったような時代があった。
毎月か隔月ぐらいライブがあり、確か、桑名さんがやっていた ライブハウスだったと思う。
ある日、そこに行くとものすごい人で、何事かと思ったら 「雨上がりの夜空に」がヒットして、お客が入るようになったのだった。
そこから３０年あまり、彼は精力的に音楽やいろんな活動をしてきた。
去年の退院の時に、わたしは思った。
もうええんちゃうのん、お金もいっぱいあるし、あと印税だけでも 食べて行けるんやし、趣味で好きな音楽やって、気が向いたら ライブやレコーディングやって、もう隠居してもいいやん、って。 もうそんな、スーパーヒーローで頑張らんでもいいんちゃうって。
彼のコミュがあり、ライブやコンサート、テレビ出演などの情報を知るために入っていた。彼が再入院したあと、激励の言葉が続いた。
・また、ステージで元気な姿を見せて下さい。
・きっと不死身で帰ってくると信じています。
・またあの歌を聴きたい。
・元気になると信じています、祈っています。
それを読んでいて、はっと気付いた。
これって、みんな自分のために頑張って欲しいって思ってるだけやと。自分のために求めているだけやと、そんな気がした。いや、たしかに純粋に治って欲しい、元気になって欲しい、という 気持ちもあるのだろうけど、でもそうやって、みんなの期待がありその期待にもちろん支えられてるという考え方もあるけどそれに応えなあかんという風に、彼も思っていて（すごくまじめでいい人だから） だから、復活してがんがんライブやってたのだろうなという気もする。
みんなに期待され愛される事が、もちろんうれしいとは思うのだけど、それゆえにその期待に応えて、愛に応えようとしているのだろうなと思う。
でも、それってどうなんだろうかと、ふと思ってしまった。
彼にとって本当の幸せって何なのか、わたしにはわからない。
でも、そうやって病気という形になって出てくるからには、何か彼の中に何かがあり、その事に気付く時ですよというお知らせなのだ。
見過ごしてしまいやすい生活をしていると（たとえばすごく忙しいとか） 入院という形で強制的に考える時間を与えられてしまうのだ。
そんな事をつらつら考えていたら、思い当たった事があった。

山岸会長が「エネルギー送らないで欲しい」と言っていた事を思い出した。「会長に良くなって欲しい」「また元気になって教えて欲しい」
「いろんな製品をこれからもどんどん作って欲しい」
「（まだ伝授受けてないから）元気になって伝授続けて下さい」
思っている人に悪気はなかったと思うけれど、 みんな自分の事ばかりだった。 自分のために元気になって欲しいと思っていたのに等しい。ある意味、それはエゴというものなのだろう。 元気になって帰ってくる事が会長にとっていい事だという思い込みとそれを祈っていますという隠れ蓑の裏のエゴ。病気＝悪い事、元気＝良い事、という、ストレートな安直な思い。
確かに病気でない方がいい、元気な方がいいに決まっているが、時として、病気が必要な事もある。そうならなければ気付かない事、見えない事もある。でも、そうなっても、見ようとしなければ見えない。

わたしたちにとっても、会長の病気というのは不都合だった。
そのわたしたちにとっての不都合が起こった原因を、その時はわたし自身、見る必要があったとは気付かなかった。というか、なぜそれが起きているのかわからなかった。
ただ、みんな会長を思っているようでそうではなかったのだと 今だからわかる。元気になってわたしたちのために、働き続けて欲しかっただけだ。 もっともっと、いろんなものを与えて欲しいと期待し求めていただけだ。
そんな風なエネルギーが、ものすごい量、束なって来たら、それは、嫌だと思わざるを得ない。
会長はそういう風に具体的にわかってはいなかったかも知れないとは思う。 ただ、エネルギーを送られると「痛い」から嫌だとおっしゃっていたらしい。
感情や利害やエゴの入ったエネルギーだったんだろうな、と 今頃、ほんとに申し訳なく思う。

ヒーリングをしていても、身内のヒーリングは治りにくいとよく言われる。
それは、きっと、元気になって欲しい、治って欲しい、という感情や 思いが強すぎるせいで、それを外してやろうとしても、他人に対するより とても難しいのだと思う。

そんな事を考えているうちに、あー、そういえばそろそろ会長の命日なんだな、と気付いた。

Ameblo　2008-10-20