#いいねした人を主人公にした嘘日記を書く(とれいん編)

10/17(木)「おそらく二度と行かない」

「変な靴屋だな」それが第一印象だった。
長年住んでる街の、通ったことの無い道にその店はあった。最近できたのか、昔からあるのか、見ただけでは判断がつかなかった。

店の真正面に立ってみる。外から中を見てみると、ますます「変な靴屋」であることが強調される。まず第一に、白い靴しか見当たらない。スニーカーも、サンダルも、革靴も、長靴も、全部白だ。内装が黒を基調としているので、余計に白い靴が目立つ。

かなり悩んだあげく、入店することにした。中からじっくり様子を伺うと、さらにおかしな点に気付いた。店内には、靴が入った棚がところ狭しと並んでいる。棚には「スニーカー」「革靴」といった具合に、靴のジャンルが書かれている。それだけならまだ良いが、店の奥に「サイズ」と書かれた棚があった。「サイズ」とはどういった意味だろうか。全部のサイズが揃っているのか。棚を見る限り、ジャンルもサイズもバラバラだ。この店において「サイズ」は特別な意味を持つのか、持たないのか。考えてみたものの、解明には至らなかった。

「サイズ」の棚から、一足だけ靴を手に取ってみる。真っ白な靴だ。触ってみると、わずかだが奇妙な形の出っ張りがある。見覚えのある形だ。指でなぞってみると、それはナイキのロゴであることがわかった。

結局何もわからないまま、靴屋を後にした。手が少し白くなっていたのに気付いたのは、自宅に着いてからだった。

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