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約束の期限②

みなさん、こんばんは。
今宵はどんなお話をいたしましょうか?

【70代男性 会社社長】

50年前の都内某所小料理屋の一番奥の個室で
金杯に注いだ清酒を飲み交わした男たち。

「兄弟の盃」です。
(ちなみに反社会組織内の儀式ではありません。
当時は、決意表明とも言える仰々しい意思確認の儀式でした)

歳上社長が言いました。
「これで一生の付き合いだ、死ぬまで面倒を見る」

相談に来た社長も応えます。
「一生ついて行きます。」

その後も2人で取り組んだプロジェクトは数知れず。
それなりの財も築きました。

相談社長は、とあるプロジェクトで建設した建物の一角を
メンテナンス担当として、貰い受け、
兄会社の会社経営システム内で、役員報酬のよう定期的収入が得られるような
立場に鎮座しました。

やがて、時代が流れ
彼らもそれなりに年齢を重ね、やがてその時が来ました。

兄社長が鬼籍に入ります。
いつか来る、とわかっていたものの、棺を見送り時には
涙が込み上げたそうです。

最後の会話が、頭の中でこだまします。
「会社を頼む」

兄社長が立ち上げ、自分も鎮座しているその会社は
今では兄社長の息子が代替わりをしています。

兄社長をの煙を見ながら
相談者の社長は、心に決意をします。

「会社を立て直そう」

そう、時代背景もあり、加齢で代替わりしたものの
いつかの輝かしい状態の会社ではなくなっていました。

相談者の社長は、兄がそれで良いといっているのだから、と
口は出さずに、じっと見守っていました。

しかし、兄社長の息子は、、、、文字がうまく読めませんでした。
定かではありませんが、「失読症」だったのではないか?と推測します。

しかし、時代性もあり、息子の症状がはっきりとした状況ではないまま
「長男」として、書類上「代表取締役」になったのです。

兄社長とはタイプの違う息子社長は、勢いはあるものの、計画性がない行動をして
かなりの損失を被っていたと言う噂は耳にしていました。

兄社長の1周忌を待って、相談者の社長は、兄社長の奥様(息子社長の母)に
面会に行きます。

代替わりしたとはいえ、兄会社の株は半分近く遺産相続により、妻へと移ったからです。

兄社長の思い出話を小一時間しながら、相談者の社長は、話を切り出しました。

「このままでは、会社が不安定になる。息子社長を自分がもっと育てるから
しばらく自分に会社運営に関わらせて欲しい」

兄社長の奥さんは、キョトンとして意味不明なことを言います。

相談者の社長は、道理を通したつもりでしたが、
話が通じません。
奥様は、困った顔をしながらあたふたするばかり。
埒が開かない、と判断し、その日は帰路につきました。

帰りながら、社長は思ったそうです。

「兄社長は、奥様にも、息子にも
ビジネスの真髄を教えてこなかったのかも知れない。

文字の読めない長男を後継に決めた時点で
気がつくべきだったのかも知れない。
この話は時期尚早だったのか?」

社長の予感は当たりました。

その日から、奥様とも息子社長とも個人的な連絡が一切取れなくなりました。

どうなってしまうのでしょう?

タロットMahou



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