今しか書けない!『リコリス・リコイル』妄想13話のSS

ふと思いついて、勢いだけで書いてしまいました。
リコリス・リコイルの妄想13話のラストです。
こんな感じで日常が戻って来たらいいなぁ~って思ってます。
ちなみに、たきちさです。
同じものをpixivの私のアカウントにも上げてあります。

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すべてが片付き、今日は喫茶『リコリコ』の再オープンの日。
開店と同時に次々といつもの顔ぶれが訪れて来る。
その中に私が顔も見たくなかった人物が一人紛れていた。
吉松。
結局あの延空木と旧電波塔で起こったテロは無事にカタがつき、リコリスの存在も間一髪で民間に知られることは無かった。
千束は真島を殺すことは無く、退けることは出来たが、真島はいずこかへと姿をくらました。
未確認の情報ではあるが、ロボ太の脱走を手引きしたのが真島だと言う噂もある。
吉松は店長(ミカ)の説得により千束に新しい人工心臓の移植手術を行った。
実は吉松に人工心臓を移植したというのはウソで、人工心臓はちゃんとあのアタッシュケースの中に厳重にしまわれていた。
手術後、吉松はもう千束に殺しを強要することは無いと言って、いずこかへ去って行った。
…はずなのに!

「わぁ~!ヨシさんも来てくれたんだぁ~。」
相変わらず無邪気に吉松に話しかける千束に若干イラつきながら、吉松を睨む。
本当ならあの顔に2、3発銃弾をぶち込んでやりたい。
しかし、千束と約束したのでもうあの事件の事を蒸し返すのはよそう。
「いらっしゃいませ、こちらのカウンター席へどうぞ。」
私は吉松を事務的に席に案内する。
ってか、千束、いい加減吉松から離れろ。
カランカラン。
「はい、いらっしゃいませ~。」
ようやく吉松の腕から離れて今入って来た常連の元へと駆けて行く千束。
「はぁ~、あいつはほんと能天気でムカつくよな~。」
そう私に声をかけてきたのはフキさん。
先の作戦での命令違反でしばらくここで預かる事になったのです。
「フキさん、混んで来たんでオーダーお願いします。」
「へいへい。」
そう言って腰を上げるフキさんの背中に声がかかる。
「フキ、頼りにしてるぞ。」
「ミ、ミミミミミ、ミカさん、は、はいぃぃ。」
顔を真っ赤にして、今にも消え入りそうな声で返事をして、フキさんはオーダーを取りに行った。
「って言うか、ミズキさんも仕事してください。」
私はカウンターの隅で昼間からお酒をあおっているミズキさんに声をかけた。
「クルミさんはどうしたんですか?」
「ああ、この前のでいっぱい頭使ったからしばらく休むって言って、まだ押し入れの中。」
「もう…、混んで来たんで、クルミさん呼んで来て下さい。」
「はぁ~、しゃーねーな、よいっしょっと。」
ミズキさんはクルミさんを呼びに奥に消えて行きました。
「では、私もオーダー取って来ます。」
カウンター内にいる店長にそう一言言って私もオーダーを取りに行く。
カランカラン。
「は~い、いらっしゃ…、い…。」
千束の声が止まる。
気になってそちらの方を見てみると、そこには、リコリスの制服とデザインのよく似た赤い色の男子学生服を着た少年が立っていた。
リリベル。
男子版リコリスって前に千束に教えてもらった事がある。
先日の事件では、私達リコリスを消そうとしていた。
そのリリベルがなぜここに?
「ちょ、あんたなんでここに来たのさ。」
千束の口ぶりからどうもあのリリベルと面識があるようだ。
もしかして、昔、千束のセーフハウスを襲ってきてたって言うリリベルなのかもしれない。
店長もフキさんも入り口のリリベルに気付いたみたいで、空気がピリッとし出してきた。
マズいな…。
今、制服を着てない私達は全員銃を所持していない。
仮に銃を持っていても制服を着ていない今は発砲出来ない。
だけど私たちの緊張をよそに、そのリリベルは千束に話しかけてきた。
「錦木千束、今日は君に話があって来た。」
話?何だろう?
とにかく、いきなり発砲などは無さそうでひと安心する。
だが警戒は怠らない。
お客さんには悟られない様に、私とフキさんはあのリリベルを包囲するように動く。
「話ぃ?なんなのよ、言ってみなさいよ。」
千束は相変わらず無警戒、に見える。
そして、赤い制服のリリベルは大きく息を吸い込み…。
「錦木千束!俺はお前が好きだ!付き合ってくださいっ!!」
店内全員に聞こえる大音量でそう言った。
……。
「「「「「「「「「えええええええーーーーー!!!!」」」」」」」」」
店内全員の声がハモる。
ザワザワ、ザワザワ。
一瞬の静寂の後、にわかに騒がしくなる店内。
千束と言えば、顔を真っ赤にしながら、
「いやー」
とか
「そのー」
とか言ってる。
……もう頭にきた。
私はズンズンと二人に近寄って行き、二人の間に入って、グッと二人を引き離した。
そして千束の横に立ち、赤い制服のリリベルに向かって、
「おあいにく様、千束は私のモノなんです、私と付き合っているんです、あなたなんかに千束は渡しません!」
そう言って、グッと千束の腕にしがみついた。
「「「「「「「「「「「えええええええーーーーー!!!!」」」」」」」」」」」
今度はさっきは驚かなかった店長やフキさんも驚いていた。
おかしい。
店長はとっくに私たちの中を公認済みと思っていたのだけど…。
うん。
この際だ、はっきり言っておこう。
そう思って私は千束と腕を組んだまま、千束を引きずりながら、店長と吉松の前に立った。
「店長、吉松、千束を私に下さい。」
そう言った私を二人はあっけにとられた顔で見ていたが、やがて二人目を合わせ、二人同時に頷いた。
「よかったです、これで公認ですね千束。」
私は千束に抱き着く。
「いやっ、ちょ、たきな、わ~た~しの!私の気持ちは!」
「じゃあ、千束は私の事キライなんですか?」
「いや~、好き、だけど、それとこれとは…。」
「では問題ないですね、千束、愛しています。」
「だ~か~らぁ~、ちょ!」
「む~~。」
千束が何か言ってるけど私は構わず自分の唇を千束の唇に近づけていく。

-----ここでEDのイントロが入る-----

「ちょ、ちょっと。たきなさん…。」
私の視界にはもう千束しか写っていない。
そして私は目を閉じ…。

喫茶リコリコの外観の遠景に切り替わり。ゆっくりと青空へパンしていく。

「たぁーーきぃーーーなぁーーーー!!」
千束の叫び。

-----ED歌詞Aメロ入る-----

リコリス・リコイル Fin

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