『カランコエの花』|毎日映画 Day4
やっと邦画。
洋画ばっかり観てたから、日本語の台詞が聞こえてきたことにやや困惑した。そんなことある?日本人ぞ。
『カランコエの花』
脚本・監督:中川駿。邦画。2016年公開。
「うちのクラスにもいるんじゃないか?」
とある高校2年生のクラス。ある日唐突に『LGBTについて』の授業が行われた 。しかし他のクラスではその授業は行われておらず、 生徒たちに疑念が生じる。「うちのクラスにLGBTの人がいるんじゃないか?」生徒らの日常に波紋が広がっていき…
思春期ならではの心の葛藤が 起こした行動とは…?
(映画公式サイトより引用)
おすすめ映画を検索していたら、好みにあいそうなものがヒットしたので早速鑑賞。上映時間が短い(40分くらい)のも決め手だった。
●自然な会話が心地良い
自然な、というか、リアルな、というか。
全然意味がなさそうな雑談から、ストーリーの根幹に関わる台詞まで、学生たちの言い回しや話し方が聞いていてとても心地良い。ほどよくリアル。
脱力のしかたがいちばんリアルに感じた。10代特有の、かつ2010年代の軽さと力の抜け具合。母親との会話も良かったな…。先生たちの話し方は共通してちょっと寒さがあって、でもそれも「先生」って感じがして良いんだな。
脚本も演技もとても好みだった。
●実写だけど「作画」が良い
そうとしか言いようがない…
演者さんたちの顔、表情、すっきりとしたデザインの夏服、学校と家と帰り道と、の風景の素朴さ。撮影とか演出の手腕ももちろんあるんだろうと思う。作画がめちゃくちゃ良い。このまんまのタッチで漫画にしたい…
メインどころを演じる女子高生、男子高生の顔もとても良かった。
語彙が仕事をしてくれない…なんというか、アクの強い顔立ちの人がいなくて、全員ちょっとおっとりした素朴な顔立ちで、それが映画全体の「画風」に繋がってる印象。みんないい子なんだろうなって、嫌いになれない。
あと、夏の夕方の、空気全体が紫色になる時間帯が綺麗に映っていて、めちゃくちゃ最高だった。あの場面だけでも価値あり。
●「わからなさ」が魅力
好きな映画のひとつに『blue』がある。
LGBT映画という共通点はあるけど、ストーリーの運び方は全然違った。
『カランコエの花』は、意図して説明を省いたような展開や演出が多くて、その「わからなさ」も魅力になってる。何十人もいる教室で、それぞれの考えていることなんてわからない者同士が集まって過ごしていた高校時代の雰囲気をちょっと思い出した。
めちゃくちゃ良い。良い映画です。とても好きです。
あえて「大人が観るべき」青春映画度 ★★★★★
10代にも観てほしいけど、これは大人が観るべき作品だと思う。個人的に。
公開がもう少し早くて、その当時この映画に出会っていたら、結構自分の気持ちも救われたんじゃないかなって今更思ったり。今からでも周りに布教しよ。
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