欧州競馬と日本競馬

次の表は外国馬を1頭含む、ある5頭が走った芝2000m戦における平均完歩ピッチの推移です。いつもは100m毎での平均完歩ピッチを表していますが、今回は全体像を捉えるという意味で200m毎の値としました。さて、この5頭それぞれどの馬に該当するのか、また、それぞれどのレースに該当するのか、みなさんわかりますか?

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この5頭のデータは、大枠で分類すると2種類に分かれますが、ここで「完歩ピッチ」について改めて解説していきましょう。よく耳にする「ピッチ走法」は脚の回転を速くする走法。それと対照的な走法が、完歩の幅が大きい「ストライド走法」。ピッチが速いか遅いかを表す単位としては、エンジンの回転数で用いられるような毎分何回転といった1分当たり、あるいは1秒当たりの回転数で通常は表します。ところが私が「完歩ピッチ」の値で表しているのは、1完歩当たり何秒掛かったか、という手法です。この理由は、競馬において走行データを表す基本形がラップタイム、即ち秒数となっているから。競走馬がスピードアップする際、つまり速いラップを刻む際はピッチも速くなるのが通常で、グラフでラップとピッチを比較する場合、ピッチを回転数で表すと、ラップとピッチが逆向きの波形となってしまいます。この2つの値はリンクするケースがほとんどであり、私はあえて1完歩当たり何秒という表現にしています。また、ズバリ1完歩に要した時間を計測するのはハイスピードカメラの映像を分析しない限り不可能ですから、ある区間に要した秒数、例えば手前側の脚が着地した同じタイミングで測り完歩数で割る、という形で算出しており、100m毎なら概ね13~14完歩での平均値となります。ちなみにJRA競走馬総合研究所や海外の競馬アナライザーは、毎秒何回転だったか、という形で競走馬のピッチを表しています。

次に200m毎の個別ラップ(外国馬は0~200m区間をマイナス1.5秒した日本式計時換算値)を見れば、2種類の分け方がイメージできるかもしれません。

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それでは、この5頭がどの馬か、どのレースか、答え合わせをしていきましょう。

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