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日本麻雀百年史

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本誌編集主幹、西野孝夫が記す、日本に伝来した以降の麻雀実録。 伝説の連載となったこの記録がnoteで再登場!
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2019年4月の記事一覧

日本麻雀百年史 その5

日本の寧波は鎌倉

  二、三の文献では、鎌倉派雀士の研究心旺盛な活動については述べているが、その来歴について記したものはない。ただひとつ手塚晴雄だけがその来歴、そもそものところを『南は北か』に書いている。
 
  東京・神楽坂のカフェープランタンに出入りする前の時期である。

  大正13年(1924)、鎌倉海浜ホテルの香川支配人からこの地に古くから在住している寺木定芳に誘いがあった。

 

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日本麻雀百年史 その4

最初の麻雀伝道師 林茂光の登場
  配牌時に親が最後に取る「チョンチョン」、この言葉は林茂光がカフェープランタンで初心者に説明したとき使ったものだという。
 
  『親がこのようにチョンチョンと二枚取るんですよ』――。

  この専門用語としてはいかにも不似合いな「チョンチョン」という言葉が、いつのまにか日本麻雀の正式用語として定着した。

  チョンチョンのことは中国では「跳板(チャオバン)」

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日本麻雀百年史 その3

麻雀営業の原点は麻雀教室だった

  大正3年(1914)、第一次世界大戦勃発。一兵卒として出征していた平山三郎は、中国・青島で日本軍とドイツ軍の攻防戦を目撃。日本軍による三日間にわたる猛攻撃の末、青島が陥落した。
    
  このとき平山は、参謀長山梨半蔵陸軍少将を乗せた車を運転し、ドイツの総督ワルベックが待つ海軍ホテルに向かった。

  その後、青島で数日滞在した折、中国人の住居区に入り、

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日本麻雀百年史 その2

記録に残る日本人最初のプレイヤー
   三つ目のエピソードである。
  麻雀史に造詣の深い法政大学・江橋 崇教授によれば、日本人で最初に麻雀をした人物は、中国に留学中の松本清司だったという。

――日本人で最も古く麻雀をした記録を残しているのは、松本清司『支那百題』に収録された彼の学生時代の日記である。明治40年9月23日、雨降りで暇をもてあました松本は中国人たちと「打牌」をして勝った。

  そ

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日本麻雀百年史

【第一章】 麻雀伝来と麻雀営業の成立

夏目漱石が麻雀を最初に紹介した
  有名なエピソードから始める。明治の文豪、夏目漱石が中国を旅した際、麻雀らしきものを見たという見聞記。

――たくさん並んでいる部屋の一つでは四人で博奕を打っていた。博奕の道具は頗る雅なものであった。厚みも大きさも将棋の飛車角くらいに当たる札を五六十枚程四人で分けて、それを色々に並べ替えて勝負を決していた。其の札は磨いた竹と

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