あの要らない字牌は何? 〜安全牌〜

最近では様々な媒体で麻雀の対局を観る機会が増えました。麻雀教室でも「昨日のMリーグ見た?」というやり取りをたまに耳にする事があります。そのやり取りの中で「どうしてあの人は手牌に要らない字牌がいつもあるのだろう?」と疑問に思われている方がいらっしゃいました。いつも必ず字牌を持っている訳ではないにしろ、テンパイ以外の時には字牌や端(19)の要らない牌を持っているケースはよくあります。何故そんな要らない牌を持っているのでしょうか?一緒に考えてみましょう。

あの字牌の正体は安全牌(アンゼンパイ)

先に答えから言ってしまうとあの要らない字牌の正体は「安全牌」です。自分がテンパイしている時ではなく、自分のテンパイよりも先にリーチをされた時などに「一発」での放銃(振り込み)を避け失点量を減らすための安全を買う牌です。(リーチ一発で振り込むと1翻高くなる)

放銃(振り込む)するリスクを避けるために持っていますが余計な牌を持つことになるため、自分の手牌進行の妨げになりすぎないように持つ必要があります。アガりたい手の時に持つよりも、配牌が悪くアガりが厳しい時に複数牌持ちながら進行していきます。

字牌の中でも場に多く捨てられている字が良い

安全牌は何も字牌だけとは限りません。他の3人全員が捨てている牌なら何でも構いません。(他の3人全員に安全な牌を共通安全牌と言います)ただ、3人とも同じ牌を捨てている機会は少ないので放銃しにくい牌を選んで持つことになります。

 3枚捨てられている字牌なら、国士無双以外に振り込むことはなくほぼ安全と言えます。2枚捨てられている字牌は単騎待ちか国士無双にしか振り込まず、1枚もしくは1枚も捨てられていない字牌でも単騎待ちかシャンポン待ち、もしくは国士無双にしか振り込むことはありません。流石にシャンポン待ちのある字牌が安全牌とは言えませんが、数字の牌よりは振り込みにくく、2枚捨てられている字牌ならばほぼ安全と言えるでしょう。

字牌が持てないケースは親の安全牌を持って進行します。これは親にアガられると1.5倍支払いさらに連チャンを許してしまうからです。親のリーチ・一発だけは避けたいものです。

初心者教室では字牌から捨てるように教え、安全牌は教えない

健康麻将の入門・初級教室ではアガることを習い、アガる楽しさを知ってもらうことに重きをおいています。アガりに直結するように揃えるためには字牌は有効牌が少ないので真っ先に捨てられる候補になります。トイツやコーツではない(つまり孤立牌)字牌を取っておくことはホンイツやトイトイ、チャンタを狙う時くらいでしょう。安全牌は基本的にアガるための牌ではありません。

オリることを最初は覚える必要がない

麻雀が上達するためにオリ(手を崩して振り込まないようにすること)を覚え実践することはとても大切なことです。麻雀は4人で対戦する以上、アガる機会よりもアガれないことの方が圧倒的に多いのです。そんなゲームで毎回いらない牌を捨て続ければ「ロン」と言われ失点する事が多くなってしまいます。失点を防ぐためには振り込まない工夫が必要になります。

しかし、オリることはアガりを諦めることになります。揃っている中中中から中を捨てたり、345から4を捨てたりしなくてはならない為、アガることを覚えたばかりの方にはかなりの抵抗感があります。また、麻雀の根幹は「アガること」です。アガる事が一人前にできるようになるまではオリる必要はありません。アガる事がままならない状態の人がオリてしまうと中途半端な麻雀になってしまい逆に勝てなくなってしまいます。

もし、常に全ツッパ(リーチや仕掛けが入ってもなんでも捨てる事)している人がいて、つい「オリなよ!」と言ってしまう人はその人が麻雀を始めてどれくらいの人か考えてあげてください。おそらく自分より麻雀歴が浅い人でしょう。その人に足りないことは「経験」なんです。中でも「振り込んだ経験」が足りないのです。今後その人は変わらずに放銃(振り込むこと)をいっぱいするでしょう。その経験が受け皿一杯に溢れるくらい溜まった時オリる技術を学べば良いのです。本人がもう振り込みたくないと思った時が次のスッテプへ進むサインです。


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