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冬のケンタッキーの思い出

私が、大学浪人していたときの思い出です。

当時、私は、札幌駅から徒歩40分ほどの場所で、下宿していました。
そして、下宿先から予備校に通って勉強していたのです。

札幌駅の地下街に、ケンタッキー・フライド・チキンのお店がありました。
その日、私は夕ご飯にケンタッキー・フライド・チキンを食べようと、そのお店でチキンのセットを購入したのです。

地下街から地上に出て、私は下宿に向かって歩き始めました。
自転車だったら、20分ほどの道です。
でも、当時は冬で、降った雪が30センチ以上、すっかり降り積もっていました。

歩道にも雪が降り積もり、そこが先に通った幾人かによって踏み固められて、細い通り道ができていました。
踏み固められた道の部分は、雪が固いのですが、道から外れると、積雪の中に足がズボッっとはまってしまうので、踏み固められた道から足を踏み外さないように、歩くスピードを少し遅くして、ゆっくりめ、ゆっくりめに歩いていきました。

雪が無ければ、40分余りの道のりですが、雪の中を歩いているので、スピードを上げることができません。気を抜くと、雪にツルリと足を取られて転んでしまうので、一歩一歩、気をつけて歩く必要がありました。粉雪もパラパラと降る中を、一歩一歩。

そして、半分くらい歩いたところで、私は、ふぅ、と一度、立ち止まって、休みました。郊外の、住宅地の近くの道沿いで、他に通る人がいない時に、しいんとした雪の中での一休み。

ただそこに、立ち止まり、気を張っていたのを少し緩めて、持っていたケンタッキー・フライド・チキンの袋を、そっと雪の上に置いて、休んだのです。

長く休んでいると、今度は身体が冷えてきてしまうので、私は、また、歩き出しました。そして、下宿まで、歩き通したのです。

さぁ、食べよう。

下宿に着いて、ケンタッキー・フライド・チキンのパッケージの箱を開けました。
中をのぞくと、フライトチキンから出た油が、白く固まっていたのです。


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