![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/147955078/rectangle_large_type_2_8346f3f23e209d4195a70a0dbcde7dbb.png?width=1200)
冬のケンタッキーの思い出
私が、大学浪人していたときの思い出です。
当時、私は、札幌駅から徒歩40分ほどの場所で、下宿していました。
そして、下宿先から予備校に通って勉強していたのです。
札幌駅の地下街に、ケンタッキー・フライド・チキンのお店がありました。
その日、私は夕ご飯にケンタッキー・フライド・チキンを食べようと、そのお店でチキンのセットを購入したのです。
地下街から地上に出て、私は下宿に向かって歩き始めました。
自転車だったら、20分ほどの道です。
でも、当時は冬で、降った雪が30センチ以上、すっかり降り積もっていました。
歩道にも雪が降り積もり、そこが先に通った幾人かによって踏み固められて、細い通り道ができていました。
踏み固められた道の部分は、雪が固いのですが、道から外れると、積雪の中に足がズボッっとはまってしまうので、踏み固められた道から足を踏み外さないように、歩くスピードを少し遅くして、ゆっくりめ、ゆっくりめに歩いていきました。
雪が無ければ、40分余りの道のりですが、雪の中を歩いているので、スピードを上げることができません。気を抜くと、雪にツルリと足を取られて転んでしまうので、一歩一歩、気をつけて歩く必要がありました。粉雪もパラパラと降る中を、一歩一歩。
そして、半分くらい歩いたところで、私は、ふぅ、と一度、立ち止まって、休みました。郊外の、住宅地の近くの道沿いで、他に通る人がいない時に、しいんとした雪の中での一休み。
ただそこに、立ち止まり、気を張っていたのを少し緩めて、持っていたケンタッキー・フライド・チキンの袋を、そっと雪の上に置いて、休んだのです。
長く休んでいると、今度は身体が冷えてきてしまうので、私は、また、歩き出しました。そして、下宿まで、歩き通したのです。
さぁ、食べよう。
下宿に着いて、ケンタッキー・フライド・チキンのパッケージの箱を開けました。
中をのぞくと、フライトチキンから出た油が、白く固まっていたのです。
この記事が参加している募集
よろしければサポートお願いします。今後さらに役立つ情報提供のために使わせていただきます。