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日本だけではなく世界にも目を向ける①

先日の投稿(「地理総合の一環に触れてみる」で触れてみた続きで、地理という科目の勉強はこれだけではない。私たちが住む地域、日本を知ることも大事でも今は国際化も進んでいる。そこで外国人と一緒に生活することも身近になること多い。そこには、政治だけではなく地理的事情も関わってくる。そこで、日本における地理的な内容だけではなく、世界にも向ける必要が大事だということが高まっている。

以下、高等学校新学習指導要領で述べていることを引用する。

B 国際理解と国際協力
(1)生活文化の多様性と国際理解
〔知識〕
・人々の生活文化が地理的環境から影響を受けたり、影響を与えたりして多様性をもつことや、地理的環境の変化によって変容することの理解。
「生活文化」とは地理的環境との関わりにおいて育まれる人間の生活の営みであり、衣食住を中心とする世界の人々の暮らし、慣習や規範、宗教などの生活様式に関わる事柄を意味するが、ここでの学習は国際理解を主なねらいとしており、中学校社会科地理的分野における州ごとの「世界の諸地域」の学習の繰り返しや、「地理探究」における「現代世界の諸地域」の学習と重複しないよう留意することとしている。
・自他の文化を尊重し国際理解を図ることの重要性の理解。〔思考力、判断力、表現力等〕
・世界の人々の生活文化について、主題を設定し、多様性や変容の要因などを多面的・多角的に考察し、表現する力。
主題の設定については、次のような例を示し、世界の生活文化を網羅的に取り扱うのではなく、生徒が考察するにふさわしい特色ある事例を選んで問いを立てて、学習するものとしている。
〈主題の例〉
地理的環境が生活文化に与える影響:「世界各地で様々な食文化が育まれてきたのはなぜだろうか」
生活文化が地理的環境に与える影響:「私たちの先人たちは、身の回りの環境とどのように接し、どのように守ってきたのだろうか」
生活文化と地理的環境との相互の関わりにおける変容:「人々の衣服が、時代や地域を越えて、変化したり変化しなかったりするのはなぜだろうか」  (2)地球的課題と国際協力
〔知識〕
・世界各地で見られる地球環境問題、資源・エネルギー問題、人口・食料問題及び居住・都市問題などの地球的課題の各地で共通する傾向性や課題相互の関連性の理解。
・地球的課題解決には持続可能な社会の実現を目指す各国の取り組みや国際協力が必要であることの理解。
各国が解決に向けて独自に行っている取組とともに、温暖化防止条約などの国際協力を具体的に取り上げ、その意義や必要性について理解する。〔思考力、判断力、表現力等〕
・世界各地で見られる地球環境問題、資源・エネルギー問題、人口・食料問題及び居住・都市問題などの地球的課題について、地域の結び付きや持続可能な社会づくりなどに着目して、主題を設定し、現状や要因、解決の方向性などを多面的・多角的に考察し、表現する力。
主題については、国際連合が定めた持続可能な開発目標(SDGs)などを参考に、生徒自身が「地球的視野で考え、様々な課題を自らの課題として捉え、身近なところから取り組み、持続可能な社会づくりの担い手となる」ことにつながるような、ふさわしい特色ある事例を選んで設定することとして、次のような例を示している。
〈主題の例〉
『食料問題とその解決の方向性』という主題を設定し、次のような問いを立てて多面的・多角的に考察し表現する。
「世界の人々の食生活の変化により、世界の農業はどのように変化しているだろうか」(課題の状況のおおまかな把握)。
「世界各国の食料生産と食料消費にはどのような傾向性があるだろうか」(課題の現状の考察)。
「世界には飽食に悩む人々がいる一方で、なぜ飢餓や栄養不足に悩む人々がいるのだろうか」(課題の要因の考察)。
「食料問題の解決のために各国あるいは国際的にはどのような取組がなされているのだろうか」(課題解決の方向性の考察)。
「食料問題を解決するために、各国あるいは国際的に、今後どのような取組をすべきなのだろうか」(発展的な学習活動)。

(※文部科学省「高等学校新学習指導要領」平成30年7月発行より引用)

 従って、私はある大学の履修にあたり次のようなレポートをまとめて提出しているので、引用して伝えていきたい。このような学びの機会を授業の中でも児童生徒が主体的に国名を指定しておいたり自由にしておいたりして設問設定しただけで、調べ学習をするというような指導を通して興味関心をもって考えることの姿勢を作っていきたいところである。

なお、レポート内では2つのテーマ掲示であり長文になるため、2回に分けておく。1つ目のテーマは、「地域【朝鮮半島、中国、オーストラリア、サハラ以南のアフリカ、ラテンアメリカ】のうち1つを選び、テキストの内容を再構成しなさい。」となっており、私は社会科でも非常に取り扱っている国として大きい「朝鮮半島」を選択して作成した。

1、はじめに
本テーマの選択肢を挙げられる中で、私は「朝鮮半島」に着目して述べていきたい。その理由は、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)との関係に至っては、植民地時代の補償問題を始めとして、日本人拉致問題などの政治的課題は多く、これに伴い民間レベルの対北朝鮮感情もお互いに嫌悪な状況であり、対話する姿勢を模索する両政府の動きが関心高く興味ある。今回のレポートにあたっては、もともと日本と朝鮮半島には、政治的・文化的の両方において、濃密な交流があったといわれ、高校教科書の内容を再構成しながら取り組むことで理解を深めていきたいのである。
2、概要をまとめる
 外務省(2020)によると現在、朝鮮半島のうち北朝鮮の国土面積は12万余平方㎞(朝鮮半島全体の55%で日本の33%に相当するものであり、また韓国の国土面責は約10万平方㎞(朝鮮半島全体の45%で日本の約4分の1に相当するもので合わせて一つの構成になっている。その面積に対して人口は北朝鮮が約2,515.5万人で韓国が約5178万人が住んでいる。朝鮮半島はユーラシア大陸の東端に位置し、常に巨大な大陸国家に挟まれる地理的な位置から様々な覇権を受け続けており、現在も第二次大戦後に現れた「冷戦構造」の中で起きた朝鮮戦争で北の朝鮮民主主義人民共和国=北朝鮮と南の大韓民国=韓国というふたつの国家に別れていたままである。(パシフィックヴィジョン、2012)そのため、多くの書籍ではそれぞれ解釈するのが一般的であり、一つのまとまった書籍が多くはない。
 テキストの記述内容に戻るが、日本との比較・交流に着目すると多くの類似点をもつ地域であることがわかる。歴史的に見ると、中国を中心とした文化圏に属し、西洋からの近代化を経験し、しかも第二次世界大戦後には急速な経済成長を成し遂げたという。この歴史的に細かくみることは次節で詳しく触れていきたいが、戦前では日本が朝鮮半島を植民地として支配したという決定的な立場の違いもある。また自然環境やそれに関連する生業においても類似点が多いことがわかる。非常に両国は、色々な面でよく似た道を歩いているようにみるということを述べている。

 2節【概要をまとめる】の内容は、先日に伝えた「GIS(地理情報システム)」を応用として身に付けてきた教養を盛り込んでいる。このように<国の基本的な情報をしっかり調べた上で説明できるようにする>という部分がとても大事なことであるということが社会科教員の専門性である。

 続きは、翌日に投稿する「日本だけではなく世界にも目を向ける②」で記述する。合わせて一つのレポートとすることをぜひ読んで頂ければ、幸いである。

【引用文献】
石川順一「新版韓国朝鮮を知る事典」、平凡社、2014年
辰己勝・辰己眞知子「図説世界の地誌(改訂版)」、古今書院、2020年
外務省「韓国 基礎データ」https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/korea/data.html#section1
外務省「北朝鮮 基礎データ」https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/data.html
パシフィックヴィジョン株式会社「朝鮮半島全図」、2012年

【参考文献】
高校の時に使用した教科書「新地理A―暮らしと環境―」、教育出版、2008年
アサヒ新聞アエラ編集部『北朝鮮からの亡命者 60人の証言』、朝日文庫、1997年
鄭箕海『帰国船 北朝鮮 凍土への旅立ち』、文春文庫、1997年
荻原遼『朝鮮戦争 金日成とマッカーサーの陰謀』、文春文庫、1994年