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ミッドサマーには手を出すな

LINEで「めっかわ」という言葉を使ったらドン引きされました。自分に。

ミッドサマー観てきました!!観なきゃよかったな(好き)

雑な感想を5つ書きました。濃いよ。

世の中いろんな映画があるので同じ「星」というレートで測るのは大嫌いなのですが、どのくらい良いかでいうと星4です。マジで良い。

そしてオススメ度は-1です。誰にも観てほしくない。

<注意>ミッドサマーをすでに観た人向けに書いています。「手を出すな」って言っても遅かったですね。

1-①.胸糞ではない:映画の話

「胸糞映画」って言われがちですけどそうでもないなという印象を受けました。

見方によりますがめちゃくちゃ綺麗な映画だと思っています。

確かにショッキングなシーンは多いです。最後超残酷なシーンでダニー笑います。

でもそのシーンって全部気持ち悪いくらいに集落の風習通りだし、ちょっと考えればダニーが笑う理由もすぐわかります。

ホルガ村の風習的にはこの展開全部計算通りだし、主人公カップルが引き裂かれるのも序盤から大体予想できる訳です。だからむしろ「めちゃくちゃ綺麗にできてる映画」って言えるんです。天才

1-②.綺麗すぎて考察できない

「伏線」を、「作中のシーンのうち、作品の後半にもう一度使われる手がかりとなるもの(つまり絶対覚えておかなければいけない)」とします。

そうすると、「伏線」ってそんなに無いんですよ。しいて言うなら主人公カップルの中の悪さがラストに繋がったくらい。

壁画とかルーン文字はあくまで村の風習(のちに主人公に降りかかる未来)を示唆するものであって、「伏線」ではない。

「考察」を、「作品の本来の意図と違っていたとしても、映画の意味を深掘りして考えること」とします。

そうすると、考察ってそんなにできないんじゃないかな〜と思います。

ネットに転がってる「考察」をいくつか読みましたが、それらは単に作中の壁画やルーン文字を使った、映画の意図の「解説」の範疇を超えていない。

それらは映画の意図を実に丁寧に説明することに精一杯で、考察などできっこないわけです。

映画の流れはゆっくりしているものの「考察」のスキを与えていない。太刀打ちできない。それだけ綺麗な映画というわけです。天才

2.話は読める:全体の話

集落の人間の勧誘だったのが判明する時点で「種残す目的なんだろうな〜」ってのは読める。

「人殺して平気」っていう文化を外部の人間に見せてる時点で「村から出す気無いんだろうな〜」ってのは読める。

クズ男にさんざんな目に遭わされてる時点で、ラストには彼氏選ぶのも読める。

最悪な予想をしちゃうし、全部当たる。本当に客への救いがない。

「予想外になるかも!」っていうこの映画にとってある意味「不要」な感情を徹底的に排除している。

だから集落の文化に、画に集中できるんだろうな〜と思いました。天才

3.何が怖いのか:怖いシーンの話

怖いシーンいくつかあるしホラー映画って言われがちですけど、怖いやつメインではないな〜と感じました。ホラー映画って言い切れない。

とは言え、怖いシーンも天才だったので怖いシーンのこと書きます。

3-①.「高次の」怖さ

見た目ショッキングなシーンはいくつかありましたね。世の中のエログロの大体が出ましたね。でもこの映画が上手いのは、それで済ませないところ。

普通そういうのは、グロテスクな音とか色で直接的に「怖いだろ〜、怖いだろ〜」って見せがち。

でもミッドサマーはちょっと次元高くて、「その怖い現象が、伝統に則って粛々と行われてることが怖い」っていう、見た目だけじゃない怖さが足されるんですよ。

観る側はちゃんと考えながら怖がれる。だから怖さをしっかりストーリーに絡められてるんですね。天才

3-②.「避けられない」怖さ

ショッキングシーン、多分全部「2分前から何が起こるかわかる」はずなんですよ。「次なに来るんだろうな」っていう類の怖さが一つもない

「2分前から何が起こるかわかる」ことの何がヤバイって、思い描いた最悪のストーリーをそのまま待つしかない。マジで最悪。

まだ「キャッ」とか言って目伏せれる方がマシ。

これってホラーの新しい在り方だな〜と思って観てました。天才

4.ほるがむらになじむまで:ダンスの話

ダンスのシーン大好きなんですよ!!!!

その昔部活でちょっとだけ芝居をやってたので余計に。

踊ってるダニーの視界が段々ぼんやりしてきて、呼吸音だけやけにハッキリ聞こえてきて、意識がぼーっとしてくるシーン。

ぜんぜん薬物の効果だけじゃないな、と思いました。

私も舞台に立つ時ってそっくりそのままあんな感じだったんですよ。とにかくやることに夢中で、楽しいのか辛いのかもわからないし、汗だく。ものを考えるなんて到底できない訳ですよ。

んで優勝です。メイクイーンです。とんでもない成功体験が舞い込んでくる訳です。この集落に来たおかげで。

こうなったら思考停止です。入信まっしぐらです。

が、ここで2つ障壁が現れます。「母親」と「彼氏」です。

まず母親みたいな顔がチラッと一瞬出てきます。これがダニーにストップをかける最後の手だったのかどうかはわかりませんが、とにかくめっちゃ気にしちゃう。「あれ?母さん?」ってなって探す。

でもおびただしい数の祝福と前述した圧倒的成功体験のせいで「まぁ...いっか!」ってなっちゃう訳です。

2つ目に、彼氏が振り向いてくれない。どれほどの成功体験が来ようともやっぱり彼氏の目は気になっちゃう訳です。そこでちょっと悩んじゃう。

まぁそのすぐ後に種付けセックス目撃しちゃうんですけどね!!最悪!!

よって2つの障壁は絶たれました。入信へのレールは異常なまでに綺麗になった訳です。徹底的すぎる。天才

終.「なんの話か」を考えよう:映画の話

作ったアリ・アスター監督は「ミッドサマーは『恋愛映画』だ」と主張してるらしいんですね〜。ホラーってわけじゃないとは言え恋愛って...

ひとまず「なんの話か」を考えてみることにしましょう。

ご存知の通りミッドサマーは「ホルガ村の風習の話」「引き裂かれる男女の話」です。

しかし、引き裂かれるべきであることは序盤からずっとそうであるわけです。村的には引き裂く手伝いをしたに過ぎない。

つまり、「引き裂かれる男女の話」からしてみれば、ホルガ村は環境要因に過ぎない訳です。

で改めて考えると、ミッドサマーは「ホルガ村を舞台にした、引き裂かれる男女の話」と言えます。

つまりこれ、れっきとした「恋愛映画」なんです。


というのが私なりの「考察」です。

おしまい。

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