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【第7話】 どん底に貶められた一つの電話

相変わらず朝は学校、昼は総菜屋、夜は工場といった生活が続いていました。
夜の工場の仕事が終わり、ちょうどその日は学校が休みだったので、くたくたに疲れた身体を引きずって家まで帰りました。その日はやけにカラスが自分の上空を飛び交っていました。
シャワーを浴びて朝を迎える少し前に眠りに落ちました。
そうすると夢の中で誰か知らない声で自分の名前を呼ぶ声が聞こえて来た。
ハッと目を覚ますと自分の携帯電話が鳴っていました。
知らない番号だ。
恐る恐る出てみると均質で無機質な声で

「先月分の家賃が振り込まれていません。いつ払えますか?」

と、突然今住んでるところの保証会社から電話がかかって来ました。
フリーレントで2ヶ月って聞いていたので住み始めて3ヶ月した今月から家賃が発生するはず。
だからそんなはずはない、と思い契約のときにもらった不動産屋さんの担当者の名刺を探し出し、すぐさま電話をかけました。

「フリーレントが2ヶ月なんて言いましたっけぇ?すみません、1ヶ月で契約進んでるんでなるべく早めに家賃振り込んでくださいねぇ」

人を馬鹿にしたような声で言い放った。

「そんなこと聞いてません。2ヶ月フリーレントって言いましたよね?どういうことですか?」

「そんなこと言われましてもねぇ。契約書には1ヶ月のフリーレントって書いてあるんでその通りのことを申し上げてるだけなんですけどねぇ。なので払ってくださいねぇ、よろしくおねがいしまぁす。」

そこで電話は切れました。
生憎、少しの蓄えはあったので払えなくはなかっんです。
ただ騙して来た不動産屋に腹が立っていたのと、その騙されたことにたいする自分の愚かさ、そして行き場のないやり切れなさで心が少しずつ重たくなっていくのが感じられました。

ただ、、、毎月そのくらいのお金が飛んでいくのはさすがにまずい、、、と思いひたすら友達に電話をかけまくりました。
ルームシェアをして半額ずつ出し合えばなんとか暮らしていけるだろうと思ったのです。
立地は悪くないし、語学学校の生徒は引越しだったり家を借りるのに苦労するということはわかっていたので一緒に住む相手はすぐに見つかりました。

そして土日にも居酒屋とラーメン屋で朝から晩まで働くことに決めました。
それともうちょっと時給の良い仕事を探さないとと思い嫌でしょうがなくなっていた工場を辞める、というかバックレる決意をしました。

そして向かった場所はある所だったんです。

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NHKにも出演したオーナーのリノが運営する松戸のインドネシアのコーヒーのみを取り扱ったカフェです。

住所:千葉県松戸市本町6-8平野ビル1F


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