【第5話】 下宿先からの脱出前夜
ある日下宿先の夫婦がインドネシアに一時帰国する話をリビングでしてるのを耳にしたのです。
よし今だ。
と思いその隙を見てその家から抜け出す準備をしてました。
居心地は悪くなかったんですが、その当時の生活と言えば朝は学校、昼はデパ地下でバイト、夜から朝は工場で携帯電話を作っていました。
そんな生活をしていたので家に帰らなくてもあまり困らないし、逆に一度自動車学校を辞めてしまっているのでそれに心配したおじさんとおばさんが学校にちゃんと行ってるのか、と定期的に問い詰めてきてそれを毎回なんとか誤魔化してやりすごすことが少しずつ億劫になってきていたのです。
なので特にうるさいおばさんがいない内にこっそりと抜け出して、一人で暮らそうとしていたのです。
そんなことを思っていた、おばさんがインドネシアに帰る日の前日、工場の仕事が終わって少しシャワーを浴びて仮眠を取ろうと朝帰るとおじさんが一人リビングのテーブルに座って新聞を読んでいました。
「おいリノ。ここからが始まりだぞ。自分の生まれた国ではない国でこれからも生きていくつもりならそれが正解だ。」
それを聴いて心が震えました。
それはおじさんが自分がこの家からこっそりと抜け出そうとしていることをわかってたからということもありますが、
これから進む道の中で今までに経験したことないようなことが待っている未来がその一言で見えたような気がしたんです。
「どんなことがあっても頑張るよ。」
その一言を最後におじさん夫婦とのしばしの別れとなりました。
ここから進む道が自分のこれからの人生を決めるんだ。
ただその道は最初から険しかったのです。
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NHKにも出演したオーナーのリノが運営する松戸のインドネシアのコーヒーのみを取り扱ったカフェです。
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