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【第14話】また一歩先に進む一歩を踏み出した瞬間

「そうか君がリノくんか。妻から話は聞いてるよ。今まではどんなことをしてきたんだい?」

「今までは日本語学校に通っていたときは主に百貨店のデパ地下で働いていたり工場で働いていたり、
日本語学校を卒業をしたあとはITの専門学校に行って、その後就活をしてコンビニの会社に就職して、
新規店舗の開発などをやっていました。

そこの仕事が忙しすぎてちょっと自分がなにをして生きていきたいのかがわからなくなって辞めて
ちょうど2年くらいフリーターみたいな生活をしていました。」

「ほう。なかなか精力的に過ごしてきたんだね。うちもちょうどインドネシアに拠点を作って、インドネシア人の人たちにもうちの製品を使ってもらいたいと思っているんだ。どうだい、うちで働いてみて将来はインドネシアでうちの拠点の立ち上げメンバーにでもならないかい。」

インドネシアにこの会社を持っていけるんだ。
インドネシアの人たちの生活に役に立つものを僕が持っていけるかもしれないんだ。

少し話が飛びますが、この頃から自分がインドネシア人として日本でできること、
そして自分の故郷であるインドネシアにできること、その二つが同時に満たせるようなことを、自分の身にしっかりつけてやっていきたいと思うようになってきました。

だからこのとき初めて”インドネシアのため”に何かができるかもしれないと思い思わず心が震えました。
ここで働けば僕がインドネシアの役に立てるかもしれない。
その思いで溢れていてそのあとに何を話したかが今でも思い出せません。

そんなこんなでその製薬会社で、まずはバイトとして働き始めました。
初めに言われたことが体調を絶対に崩さないこと。
薬を作るためには常に白衣を着て、自分の手を始め身体全体から菌が無い状態を作らなければ薬を作るための部屋である無菌室に入れないようになっていました。

そこではチームで一つの薬を作成するために色々な実験をやりながら、
どの菌にはどんな成分が効くかどうかというようなことを朝から晩までやっていました。
どのチームも次から次へとくる案件をこなさなければならなかったので、
薬をつくるための実験結果に誤差を生じさせないためとチームの仕事を送らせないように体調を崩さないようにということでした。

昔から身体は丈夫な方だったのでそこの問題はあまりなかったのですが、
またここでも言語という壁が立ちはだかってきたのです。
とにかく研究結果とかの文献資料が専門用語だらけだったのです、、、
それもそのはずでその製薬会社で働く外国人が僕ひとり。
そんな会社に外国人の新人用のマニュアルなんかあるはずもなく、
そしてその上、GMPの勉強もしなければならず、、、
一つ一つの言葉だったり、一文一文しっかり読むために何度も先輩に聞いたり調べながら必死に食らいついていました。

*GMP
(Good Manufacturing Practice)とは、製造業者(外国製造業者含む)および製造販売業者に求められる「適正製造規範」(製造管理・品質管理基準)のこと。 品質管理とは、医薬品等の原材料の入荷、検品から製造、製品の包装、出荷管理、製品保管、回収処理などに係る業務である。

その必死さが社員の方々に伝わったのか、いろんな部署の色んな仕事を任されるようになり、あれよあれよとバイトから契約社員、そしてバイトとして入った1年後には社員として採用してもらえるようにまでなりました。

そのあと続くのは地獄のような日々だったのです。

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★MAHAMERUコーヒーとは?

NHKにも出演したオーナーのリノが運営する松戸のインドネシアのコーヒーのみを取り扱ったカフェです。
URL:https://www.mahameru.tokyo/

住所:千葉県松戸市本町6-8平野ビル1F


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