『逃げ上手の若君』風間玄蕃の成長記録!①武士の子玄蕃

※『逃げ上手の若君』(松井優征)12巻未収録情報を冒頭に含みます。


 逃若党では若様の側近的存在である玄蕃くん。115話ラストの「坊の逃げがなお一層面白くなるぜ!」という彼のセリフが何故かとても心に残りました。

 2巻で登場した当初はひねくれて自己中心的だった玄蕃くんが、若様をより輝かせることに意欲的になるなんて、成長したね……と感慨深くなったのですが、具体的にどんな道を通ってここまで辿り着いたのか気になったので、初登場時から玄蕃くんの活躍を振り返って考えてみました。



 大きく見ていくと、2巻初登場時点では衣食住はある程度満たされていそうに見えます。子供ながらに自分で稼いだお金で自活している玄蕃くん……頑張ってるね😭

 しかし人々から嫌われ孤独だった彼は、若様に受け入れられることで心の居場所を得て承認欲求が満たされていきます。

 そして、6巻の天狗との出会いからは自らの技を高める喜びに目覚める、と、綺麗により深い欲求を満たしていくカーブが見られて惚れ惚れします。


 やはり6巻が玄蕃くんのターニングポイントに思えます。まずは6巻を細かく見ていきましょう。

 47話の泰家叔父さん登場回で、玄蕃くんは「さてこの先どうするか」と迷います。天下奪回の戦はこれまでと違い天下を取るか全滅するかレベルの過酷な戦いになるのは必至で、居場所を得られるというメリットだけで死地に赴けるか、と現実派の玄蕃くんらしい天秤のかけ方です。

 そこで初めて夏(天狗)と出会い、手も足も出ず己の未熟さを知ります。「俺の技を手品だと?」の怒りとも驚きとも取れる表情は、玄蕃くんが今まで父親以外の忍を見たことがなく、漠然と「自分の技は既に完成されている」と思っていたゆえではないでしょうか。忍の技に関して初めて悔しいという感情を覚えた玄蕃くん。

 そしてもう一つ強烈に感じたのは、父の技を「手品」と侮辱され誇りを傷つけられた怒りです。どちらかというと天狗へのリベンジのモチベーションはこちらの方が大きいのではないでしょうか。その姿はさながら武士の子のようです。はぁ玄蕃くんはひねくれていても武士の子!誇りを傷つけられたら許さない!

 武士の子といえば思い出すのが2巻綸旨編の「偉い武士の子のくせに恥はないのか?」です。玄蕃くんが若様を煽るための台詞だと思っていましたが、もしかして玄蕃くんは武士から追放されたがゆえに却って本物の武士に対する憧れが密かにあり、彼らが武士たる心をもっていないことに過敏になるのではないでしょうか?!

 ちなみに、玄蕃くんの技は一族の技ではなく恐らく父親が覚えた技なので、ひとえに父親を侮辱された怒りなんですよね、お父さん……!!!


 長くなってきたので②に続きます!!武士の子玄蕃くん!!



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