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旅で磨こう「文化力」

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「大人の心は、いつも発見の旅を待っている」。そんな旅のヒントを、これまで体験した内外の旅を通じ伝えたい。
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#世界遺産

旅で磨こう「文化力」 始めます

#旅行 #紀行 #文化力 #エッセイ  世界を席巻した新型コロナ禍で、増え続けていた海外への旅は、すっかり冷え込んでしまった。されど旅の魅力は色褪せることはない。旅は発見と感動を与え、好奇心を満たしてくれる。さらに旅によって、「文化力」を磨くことが出来る。私にとって、旅は生きていることの確認の場であった。智が満ち、歓びの原動力となる、そんな旅を、生ある限りこれからも続けたい。気障に言えば、「大人の心は、いつも発見の旅を待っている」。そんな旅のヒントを、これまで体験した内外の

大航海時代の残影、ポルトガルを初訪問華麗な装飾の修道院や独自の文化的建造物の数々

 ポルトガルへの旅は、私にとって56ヵ国目とはいえ、いつか訪ねるであろうと確信していた。幼い頃学んだ鉄砲やキリスト教伝来の歴史の記憶や、7年前に隣国のスペインを旅していて「次は」との思いもあった。15~17世紀、未知の世界に勇躍し一大海洋国家を築いた大航海時代の輝かしい歴史の残影と、華麗な装飾の修道院が点在し、独自の文化的建造物や景観は、大いに好奇心を満たしてくれた。加えてキリスト教の三大聖地とされるスペインの「サンティアゴ・デ・コンポステラ」に足を延ばせたことも有意義であっ

人気の世界遺産、モン・サン・ミシェル環境復元や修道院修復、観光客も復調の兆し

 1157件を数え、増え続ける世界遺産(2023年現在)。その中でも人気の高いフランス の「モン・サン・ミシェルとその湾」(1979年登録)は、環境復 元計画で橋が架けられ、修道院では現在、修道院などの修復作業が行われている。ここ数年、新型コロナ禍で観光客数は低迷していたが、やっと復調の兆し。海に浮かんでいるように見える岩山に聳える驚異の建造物を見て、その美しさと同時に、先人たちが築いてきた数奇な歴史に思いをはせ、大いに感動を覚えた。私が訪れたのは2010年5月になり、現地

旧ユーゴスラビア連邦の3ヵ国の旅 「アドリア海の真珠」にも内戦の痕跡

 戦火の絶えなかったアフガニスタンからアメリカ軍が撤退したと思ったら、その半年後、ウクライナへロシア軍が侵攻し、戦乱が長期化の様相だ。かつてのソ連軍が1979年にアフガニスタンに軍事介入したものの、10年後に撤退した歴史の教訓が生かされていない。長い視点で見れば、戦争に真の勝者はない。兵力による国家間の戦争の犠牲者はいつも国民だ。国家や民族の争いと言えば、オリンピックが開かれた街が破壊し尽されたサラエボの悲劇を思い起こす。14年前の2008年7月に旧ユーゴスラビア連邦の3ヵ国