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旅で磨こう「文化力」

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「大人の心は、いつも発見の旅を待っている」。そんな旅のヒントを、これまで体験した内外の旅を通じ伝えたい。
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#ヨーロッパ

旅で磨こう「文化力」 始めます

#旅行 #紀行 #文化力 #エッセイ  世界を席巻した新型コロナ禍で、増え続けていた海外への旅は、すっかり冷え込んでしまった。されど旅の魅力は色褪せることはない。旅は発見と感動を与え、好奇心を満たしてくれる。さらに旅によって、「文化力」を磨くことが出来る。私にとって、旅は生きていることの確認の場であった。智が満ち、歓びの原動力となる、そんな旅を、生ある限りこれからも続けたい。気障に言えば、「大人の心は、いつも発見の旅を待っている」。そんな旅のヒントを、これまで体験した内外の

眠りから醒めた中世の都、ブルージュ  路地裏に名作の名残、世界遺産に登録

手元に一冊の本がある。ベルギーの詩人・小説家、ローデンバック(1855-98)の『死都ブリュージュ』(1976年:窪田般弥訳の岩波文庫版、1988年:岩波文庫刊)だ。  暗いタイトルだが、街はこの作品で脚光を浴びた。ブルージュは13世紀、水運を通じて北海ともつながり、交易拠点として栄えた。しかし入り江に土砂が堆積し大型船の遡行が出来なくなり、商業都市としての機能を失った。やがて15世紀以降「死都」と言われながらも、過去の栄光と冨をなおも街角に遺す。中世の歴史地区ブルージュは