眠りから醒めた中世の都、ブルージュ 路地裏に名作の名残、世界遺産に登録
手元に一冊の本がある。ベルギーの詩人・小説家、ローデンバック(1855-98)の『死都ブリュージュ』(1976年:窪田般弥訳の岩波文庫版、1988年:岩波文庫刊)だ。
暗いタイトルだが、街はこの作品で脚光を浴びた。ブルージュは13世紀、水運を通じて北海ともつながり、交易拠点として栄えた。しかし入り江に土砂が堆積し大型船の遡行が出来なくなり、商業都市としての機能を失った。やがて15世紀以降「死都」と言われながらも、過去の栄光と冨をなおも街角に遺す。中世の歴史地区ブルージュは