心にしみる静かな盆踊り「八尾風の盆」 越中の山里に、三味線と胡弓の哀調の音色が響く
「八尾の町では、どこにいてもこの雪流しの音が耳に入って来る。坂の町であるばかりでなく、八尾は水音の町なのだ」といった書き出しで始まる高橋治さんの『風の盆恋歌』(1987年、新潮社)。この一冊の本が、富山の小さな町を全国に知らしめ、年にたった三日間の祭りに、25万人もの人出をもたらすことになったのだ。かく言う私も、2012年までに、風の盆通いは9度目を数えている。10度目を一つの区切りにしようと2020年に予定していたが、新型コロナ感染防止のため中止となり、昨年も開かれなかっ