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遙かすぎるHighway X(B'z 3年ぶりのツアー初日の話)※追記あり

2022年5月13日。B'z 3年ぶりの全国ツアー初日を翌日に控え、そのチケットを手に入れていた僕は鼻息荒くこんなつぶやきを投稿していました。

まるで遠足前日の小学生のようなテンションです。絶対に寝坊できないプレッシャーからか、目が覚めたのは朝4時半でした(結局6時まで二度寝しましたが)。

交通費を節約するため格安航空券を取っていた僕が向かったのは、成田空港でした。事前に家からの経路や所要時間も調べていて、準備は完璧。どんなロケより念入りでした。

しかし、一点残念なことがありました。それは出発する空港です。どうせなら羽田空港発の飛行機が良かったのです。

B'zは2020年にZepp Hanedaで5週連続無観客配信ライブを行っていて、羽田空港はひとつの聖地ともいえる場所になっていました。当時、B'z一色に装飾されたZepp Haneda周辺を人の少ない時間帯に訪れ、その空気を味わったりしていました。

稲葉さんもMCで「全国からファンが羽田に集って、ライブを行いたかった」的なことを話していました。羽田空港から3年ぶりのツアー初日の福岡に向かうなんて素敵な旅なのにな…そんなことを考えながら電車に乗っていました。

ある駅に停車した時です。ふと車内の電光掲示板を見て、僕は目を疑いました。

【羽田空港行き】

え?

あれ?

今回の出発地は成田空港のはず。もう一度電光掲示板を凝視します

【羽田空港行き】

え!?羽田?

えーーーー!!

間違えました。羽田空港に思いをはせるばかり、僕はいつのまにか電車の乗り換えを間違い、成田空港とは真逆の方向にある羽田空港に向かっていたのです。

今どこ?

こわ!!

間に合うの?

俺こわ!!!

感情がぐちゃぐちゃになります。さっきまで開いていたgoogleマップを見直すと確かに目的地が『羽田空港』になっています。事前に調べた時は『成田空港』で経路検索していたのに、めちゃくちゃです。

今いる場所から成田空港までの経路を改めて検索します。

…飛行機に間に合わない。

だって場所真逆やもんな。ははは。マスクの下でちょっと声が出ていたかもしれません。

格安航空券を取ったため、便の変更は不可。急いで『成田空港発、福岡行き』のチケットを改めて検索します。

元の値段より全然高い。さらに、せっかく早い便に乗ってグッズを買うつもりだったのに到着時間もギリギリになる。あと、空港で何時間も待たないといけない。

…新幹線しかない。

失態に気づいたのが品川付近だったこともあり、空路を諦めて陸路に切り替えることにしました。ちなみにここまで「お金もったいなー!」と50回くらい思っています。

品川で7時37分発のチケットを取り、新幹線に乗り込みます。約5時間かけた旅の始まりです。

飛行機は8時50分発だったので、新幹線は新大阪くらいで抜かれたと思います。空席作ってごめんなさい。

「飛行機なんて寝てる間にすぐ着くやろ」と、本も持ってきていなかったので、アマプラで『容疑者Xの献身』を見直して泣きました(もっと泣かなあかんことあるやろとは思ってます)。

そんなこんなで12時30分、博多駅に到着。SNSを見るとグッズ売り場は長蛇の列。売り切れがいつ発生してもおかしくない状態です。しかし、お腹も空きました。博多グルメを食べるために、車内販売のお弁当も我慢していたのです。とはいえ当日限定のグッズも手に入れたい…悩みながら博多駅を歩いた結果…


肉ごぼう天うどん

おすすめしてもらった『牧のうどん』を堪能(食うんかい)。提供スピードも速く「これくらいはロスのうちに入らん!」と屁理屈をこねて会場へ向かいます。

もちろんグッズ販売の列は果てしなく長く、その間にnoteをひとつ投稿できたほどです。

ちなみに、空港を間違えた話は自分でもショックを受けすぎてここには書いていません。

グッズの売り切れはあったものの、お目当てのものはある程度買えたので「ほら、うどん食べても大丈夫やった」と、誰にも責められてないのに自分に改めて言い聞かせて会場に入ります。

会場であるマリンメッセ福岡に入ると、ステージのLEDに世界各国の時間と気温が表示されていました。

ライブが始まると、これが空港のロビーを模したものだったと気づくのですが、僕はLEDを眺めて「へぇ、今日の福岡は世界の中でも結構あったかい方なんやな…」とぼんやりしていただけでした。

数時間前に空港を利用していれば気づいたかもしれませんが、なにしろ陸路で福岡までやってきたもので。


そして予定時間を少し過ぎた17時8分、いよいよ開演!客電が落ちて空港のロビーらしき喧騒のボリュームが少しずつ上がっていき、英語のアナウンスが流れます。興奮がピークに達しながら思ったのは

「Highway Xって空路やったん!?高速道路のことやと思ってた!」

でした。(ちなみにライブ終了後に『Highway』に空路の意味があるか調べたのですが、出てこず)

待ちに待った瞬間が来ました。ギターの轟音が鳴り響き、1曲目がスタートです。

コナンのやつや!『SLEEPLESS』や!

録画したコナンのオープニングを何回も見直したかいがありました。途中のラップ部分も生で聴くと超かっこいい!稲葉さんの喉も絶好調です。

1曲目が終わり、すぐに「B'zのLIVE-GYMにようこそ!」がありました。これまでは2曲目終わりが通例だったので、この構成も新鮮です。というかこれをずっと聞きたかった!盛大に拍手を送りながら、目頭が熱くなります。

2曲目は…知らん曲!でもノリがいい!サビもキャッチー!なんとか歌詞を聴こうとしますが、なかなか細かいところまでは聴き取れません。しかしサビのラストで稲葉さんが

「ハー…レインラブ!」

ん?確かニューアルバムに『Hard Rain Love』って曲があったよな…それか!

今回はアルバム発売前のツアーということで色んな意見が出ていますが、こんな感じで自分の中で予想しながら観るのはすごく楽しかったです。

続く3曲目は『ultra soul』!2曲目までは若干の戸惑いもあった場内が一気にひとつになります。

そして稲葉さんの最初のMC。

「B'zはデビューしてから2枚アルバムを出して初めてライブを行いました。そのライブで言ったことと同じことを、今日言いたいと思います」

え、何言ったんやっけ…初めてのライブは参加してないしさすがにわからん…。

「やっと会えたね…!」

ヤバいーー!!心の中で絶叫です。手の毛細血管が全部潰れる覚悟で拍手を送りました。

ここから『イチブトゼンブ』『愛のバクダン』とお馴染みのテッパン曲が続きます。SNSでは「いつも同じ曲で飽きた…」という感想もあったのですが、僕は全くそんなことはなく「やっぱり盛り上がる!最高!」と素直に思えたのでラッキーだなと思います。

なにより、フルキャパの会場がスタンディングで拳を振り上げている景色に感動しました。「LIVE-GYMが帰ってきた!」と思った瞬間のひとつです。

その後もニューアルバムの曲が続々と披露されます。稲葉さんがアコギを抱えた時は「も、もしや『Blue Sunshine』か…?」と身構えましたが、新曲でした。(さっきと話違うやん…となると思いますが『Blue Sunshine』だけは食傷気味なのです。大好きな方いたらすいません)

一度生で聴いてみたかった曲『Thinking  of you』が聴けたり、『裸足の女神』で『5ERAS』(Zepp Hanedaで行われたライブ)を思わせる演出があったり、見せ場ばかりが続きます。

後半は「これぞLIVE-GYM」という怒涛の展開です。めちゃくちゃ盛り上がっている中で、年齢を重ねても一切手を抜かない2人の姿に、本当に感動します。

個人的には『兵、走る』という最近のヒット曲がラインナップに入っているのはすごく大きいと思いました。キャリア30年を超えても「みんなが知っているヒット曲」を生み出しているのは、とんでもないことです。

新しいバンドメンバーも最高でした。『ギリギリchop』での清さんのベースソロに歓声をあげられなかったのが本当に悔しいです。

『UNITE』で文字通り会場が団結し、ひとつになったところで本編終了。アンコールの時間です。正直、最近のB'zのライブはアンコールの拍手がまばら(ウェーブ主体というのもありますが)だったのですが、この日は会場一体となって手拍子が巻き起こっていました。

そしてアンコール。1曲目はサビから始まりました。

「ユーアーマイベースト!」

わぁ、いい曲…でもなんかどっかで聴いたことあるような…え?なんやっけ?ニューアルバムの曲やんな?でもこのメロディ知ってるぞ…いや、知らんかぁ…すごい優しい曲やなぁ…え、やっぱり知ってるやん、というか『不思議な力(仮)』やん!

みたいな1人ミルクボーイ状態。2017年のライブで退場曲として流れていた未発表曲が歌詞をごっそり変え、ついにお目見えしたのです。前の歌詞もよかったけど、今回のもすごく良かったです。

ライブのオーラスは『ZERO』!ちょうど30年前にリリースされたハードロックナンバーです。

20数年前、10代のころの僕は「今は稲葉さんもシャウトして歌いまくってるけど、おじさんになったら歌えなくなるんかな…悲しいな…」と思ってたのですが、完全な杞憂でした。なんならサウンドも含めてよりぶっとくなっています。タイムマシンが完成したら山内少年に「杞憂だよ」と教えに行ってあげたいです。

ラストはおなじみの爆発で締め。2時間強のライブは最高に充実した時間でした。バンドメンバーがはけた後、2人は舞台の袖まで行って挨拶してくれるのですが、2人がすれ違う時に松本さんは手を出してタッチしようとしていたものの、稲葉さんが手を出していなくて、松本さんが「おいっ!」となり稲葉さんが「あ、ごめんなさい!」と照れ笑いしていたのが微笑ましかったです。

また、ライブのエンディングでBGMとして流れる『ひとりじゃないから』の地名を叫ぶところ、稲葉さんが思わず客席にマイクを向けてしまい「あ、声出しちゃダメだった!ごめん!」となったところも初日ならではの光景だったと思います。

ライブの途中で「マスクしながらでごめんね」と何度も謝っていた稲葉さん。確かにこれまでのLIVE-GYMとはまったく同じものではありませんでしたが、それを補って余りあるバンドのパフォーマンスでした。何度も何度も感動しました。

福岡から始まった『Highway X』が、最終日の横浜まで日本中を無事駆け巡ることを心から祈っています。

大満足で会場を後にし、福岡空港から飛行機に乗って東京へ戻りました。

福岡の空港がひとつでよかったです。ホントに。


【2022年8月13日追記】

昨日、稲葉さんが陽性疑いで千秋楽の横浜公演の延期が発表されました。喘息持ちであることは公表されてるので、症状が本当に心配です。

初日の福岡公演に続き、僕は幸運にも複数の公演に参加することができました。ツアーが続くにつれて稲葉さんがMCで言っていたのは「こうして1本のライブをやれることは奇跡なんです」ということでした。会場でも実感していたけど、今またその言葉を改めて噛みしめています。

ラスト2公演を残しての体調不良は、どれだけ悔しくて辛いか、想像がつきません。でもここまでの30公演、30回の奇跡を起こしてくれたことに心から感謝したいし、横浜公演が延期でなく中止になっても、その決定をすべて受け入れようと思います。

もし振り替え公演が決まって、ライブビューイングであっても参加できたときは、いや例えライブビューイングに参加できなくても、手首がどうなっていい覚悟で人生で一番の拍手を送りたいです。

【2022年11月30日追記】

8月22日、ラスト2回の振替公演の発表がありました。チケットが様々な形で発売されたので、そのたびにチャレンジしましたが全滅でした。

千秋楽はライブビューイングに加えて配信ライブも決まり、仕事の都合で僕は配信ライブを選択。スマホの通知をオフにし、W杯のコスタリカ戦以上に、ネタバレを気を付けながら4時間遅れで配信を視聴しました。

稲葉さん完全復活の姿に泣き、『Thinking of you』での「待っててくれた人」の歌詞変更に泣き、「ライブは尊い」のMCに泣き、『裸足の女神part2』での笑顔に泣き、丸ごと全部最高でした。

そして「ツアー初日とは色々変わったな…」ということもありました。以下、初日にはなかった要素を思い出せる範囲で列挙します。

・『B'zのLIVE-GYMにようこそ!』前の戯れの時の映像巻き戻し
・『Thinking of you』の肩組み
・『リヴ』の前のスキャット
・『ZERO』イントロの回転
・キーボード川村ケンさんの無茶振り
・ドラム青山英樹さんの「ヒデキカンゲキ!」

演奏面での変化もきっとあると思うのですが、なにぶん疎いものでわかりません。他にもしあれば是非教えてください。

稲葉さんがライブで何度も「Highway Xを駆け抜け…」と話していましたが、昨年末の松本さんのフライング発表から約1年、ついにそのゴールを迎えたのだなと思います。

チケット当落発表で一喜一憂し、直前販売が当たれば会社の誰にも言わずこっそり参戦し、訪れた先で無理やりでもご当地グルメを堪能したこと。

ライブでは半数以上を占める”未発売の曲”を五感をフルに使って楽しみ、アルバム発売後はライブの思い出を反芻しながら聴きこんでいったこと。

稲葉さんの体調を涙が出るほど心配したこと。

千秋楽は延期になったけど、アルバムについていたライブDVDがその空白を埋めてくれたこと。アルバム発売から3か月でメロディも歌詞も完全に把握した状態で、千秋楽のライブを楽しめたこと。

これでいったん終わり…と思ったら12月には『LIVE FREINDS』のBlu-rayが発売になり、2月には稲葉さんのソロライブ、夏には35周年のツアーが始まるのです。B'zファンは幸せものだと思います。

群馬のライブにこっそり参戦したとき、『裸足の女神』で登場したダルマを買って帰りました。「ツアーが無事終了しますように」という願いを込めて片目を入れたダルマ。

予定よりはちょっと伸びましたが、部屋のB'zグッズが並ぶエリアに、両目が入ったダルマが増えました。

また”尊いライブ”に参加できるよう、心身の健康を第一に暮らしていこうと思います。成田空港と羽田空港を間違えたことはいまだに信じられませんが。

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