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【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑫【人生初ステージ2】~」

楽屋は静かでよかった。

WくんもYくんも性格がよく、ギターを見せてもらったり、ユキオのギターを見せたりした。

絵にかいたようなバンドの青春の思い出になりそうなたのしい時間だった。

Fがやってきた。

また握手を求めてきたので、断った。
一言いってやりたかったので、控えめに言った。

「調子よすぎるだろ。2回しか練習に来なかったくせに」
「相変わらずきびしいっすね…これ、パーティのプログラムなんで、どうぞ」
「おまえがつくったの?」
「ええ、コピーとかアイデアはおれです」

おもしろい。センスがよかった。
宝島風だが、個性があって力強い。
ライブメニューが書かれていたので、
確認した。

4バンドときいていたが…結局3バンドで、
女子バンド、FがW、Y、D、Kとやっているバンド、それにユキオのバンドだった。
その中で、Wくんが弾き語りをやるコーナーがあるので、4バンドということらしい。

女子のバンドってのも気になるが…ユキオはオリジナル曲をFたちがやることを知り、心にさざなみがたっていた。

不安に似た感情は、嫉妬をともなって…対抗心、自己顕示欲、承認欲求が絡まりあって灰色の煙を吸い込んだような複雑な状態になっていた。

ユキオはそのとき…自分が本当はオリジナル曲をやりたいのだと気づくことになる。