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「あのマンガ、もう一回だけ読ましてくれ…」9〈憧れのギャグマンガ家編① ~「もーれつア太郎でいうとまだ人情話みたいないい話があるときでしょ?」「うん。ブタ松一家に引き取られたやせた豚がでこっぱちのやさしさに打たれて普通に太った豚に立ち直る話とかね(笑)」2「なんか、泣かせる話多かったよね」~〉

模話1「ギャグマンガ家になりたかった」

模話2「なんだい、いきなり」

模話1「小学校低学年の頃は、大真面目でマンガ家になりたいと思ったもんでしょ? 日本人ならそうじゃない? 還暦世代くらいならさ」

模話2「ギャグマンガ家にってことは、赤塚不二夫大先生にもちろん憧れたってことだね?」

模話1「そりゃあ、コントをやる芸能人になりたいっていえばドリフターズの加藤茶みたいになりたいってことだし、ギャグマンガ家になりたいってことは赤塚不二夫先生みたいになりたいってことに決まってるだろ!」

模話2「まあ、もわくん世代は赤塚不二夫先生なしでは語れないってことだね」

模話1「文字が読める前に、すでにおそ松くんの大きな判型の〈鉄腕アトム〉とか〈鉄人28号〉とかの…あれ、カッパブックスだったのかな? なんにしろ、ろくに漢字読めない頃から、おそ松くんの本を毎日読んでた」

模話2「あの頃のおそ松くんって、ストーリーが多彩で、六つ子たちのキャラがちゃんと立っていたと思うね」

模話1「おそ松が、ちょい悪な感じとかさ…子豚を盗む話だったかな? わんぱくキャラだったように記憶します。とにかくさ、チビ太をはじめ、デカパンさんとか、イヤミとか、登場人物が魅力的だったのよ」

模話2「それに、結構女性の登場人物が魅力的だったってのもあるんじゃないの(笑)」

模話1「図星(笑)。ひみつのアッコちゃんを書いてる人だから、かわいいに決まってる(笑)。いまでも忘れられない話があってさ…あるやくざの組長がいつもタバコの煙で顔が見えないわけよ」

模話2「知ってるよ。最後に水をかけられたか雨が降ったかでタバコの火が消えて素顔が見える話でしょ?」

模話1「そうそう。その顔が、すごくかわいい顔だったていう落ち。女性の設定だったのか、かわいい顔の男性だったのか覚えてないんだけど、衝撃的な落ちでさ。そのラストが、やくざをやめて映画俳優かなんかになるっていう話で、すごく好きだった。何回も読んだよ」

模話2「ボクは、ある町にお父さんが薪で走る車を買って六つ子たちと旅行に行く話」

模話1「町ぐるみでイヤミたちが、みぐるみはぐって話ね」

模話2「抜け出したおそ松くんかな? 助けにくるんだけど、たくさん人がいるんじゃなくて風船をいっぱいつけただけだったんだよね。考えてみたら無免許運転だね(笑)」

模話1「なんだか、面白さが伝わらないな~」

模話2「いいんだよ。あくまで、子どものときの記憶なんだし。わくわくしたね」

模話1「ほかにもいっぱいあるけど、前にどこかで書いた気がするけど、宇宙旅行に行く話とかね」

模話2「食べるものがないときに、その星の住人(ハタ坊)があっという間に成長する肥料を最後の食料のリンゴの種にかけるとリンゴがたくさんなっておなかいっぱいになるまで食べる話とかね」

模話1「赤塚不二夫先生の話にはやたら食べ物が出てくるから、それもよかったね」

模話2「赤塚不二夫先生のほかに影響を受けた作品は?」

模話1「天才バカボンを軸にボクの少年時代は回っていたんだけど…高学年になっていくとさ、だんだんシュールさが増して、しかもニヒルな作風が顔をだしてくるんだよね」

模話2「はっきりいって、面白くなくなるんだよね」

模話1「ボクの赤塚不二夫先生のピークは1970年あたりの天才バカボンにもーれつア太郎なんだよね」

模話2「バカボンでいうと、ボウリングの玉の下駄の話あたりくらいまでかな?」

模話1「そうだね。コミックス11巻くらいまでかな? もう買わなくなったんだよね」

模話2「もーれつア太郎でいうとまだ人情話みたいないい話があるときでしょ?」

模話1「うん。ブタ松一家に引き取られたやせた豚がでこっぱちのやさしさに打たれて普通に太った豚に立ち直る話とかね(笑)」

模話2「なんか、泣かせる話多かったよね。続く~」