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しゅうかつロック、ボクにも言わせて 「第67回 ロック対談_だぶる模話模話模話〈サケトレインロック③〉~ザ・ローリングストーンズ編2~」

模話1「サケトレインロックです」

模話2「じゃあ、ストーンズ編2行きますか。もわくんは初来日の頃はどのあたりまでストーンズを知っていたわけ?」

模話1「来日に合わせて、サムガールズ買ったり、エモーショナルレスキューを買ったりしていたかな。それ以前には、ゲットヤーヤーズアウト、ベガーズバンケットにレットイットブリードにスティッキーフィンガーズ、メインストリートのならず者を中心に、初期のアルバムも全部聴いてはいたかな」

模話2「勉強家だね。ベンキョウスキネアナタ。好きだったのはどのアルバム?」

模話1「たいていのファンと同様に、初めて聴いた頃のアルバムの刺青の男はいつになっても好きだったね。あとはメインストリートのならず者。これはストーンズに一度飽きた人でも、またどっぷりなるアルバムなんじゃないかな? みのさんがリフトップ100の動画で『トップ10はレッドツェッペリンにAC/DC、ブラックサバス、ローリングストーンズばっかりになる』みたいな冗談を言っていたけど…同感です。メインストリートのリフはもうアルバムの曲でトップ100に最低5つは入るよ。ロックスオフ、ダイスを転がせ、ソウルサバイバーの逆襲(これは1曲で3つはトップ100入り間違いなし。リフの教科書です)、ハッピー、オールダウンザライン…」

模話2「初期のストーンズは、別の話でルースターズの影響で勉強したってのもきいたよ」

模話1「そうそう。初期ルースターズって、デビュー当初のストーンズのカバーのカバーやったりしてるんだよ。リトルバイリトルとか…そう思って聴くとルースターズの大江さんがいかに意識的にロックに取り組んでいたかわかってさ…同時にストーンズを勉強した感じ。さらに、ストーンズのカバーの原曲を探っていく旅路ね」

模話2「ニールヤングかジャクソンブラウンか(笑)」

模話1「おかげでさ…さまざまなルーツミュージックを幅広く吸収しつつ、かつ、当時の60年代英国の若者がどういう音楽に影響されていたかとか…日本の東京ロッカーズ時代のミュージシャンがどういう音楽がいけてるかって思っていたのかもわかるわけさ…同時にどの時代でも、だいたい考えたり感じたりすることって似てるんだなって思ったかな…」

模話2「ローリングストーンズって、やっぱり、ブライアンジョーンズが設立時点でのボスみたいな存在だったわけじゃん?」

模話1「うん。たとえると…イカ天世代のバンドの中に、一人正統派ロックを熟知した器用なギタリストがいてさ…ブルースハープもセカンドポジションだけじゃなく、フィフスポジションも理解していて…オープンチューニングも知っている。スライドバーも使える。いろんな楽器もできて、すんげえませてて女にもてておしゃれさん。イカ天世代で、何にも知らない若者の中でローリングストーンズは全部聴いている、Whoもビートルズもパンクも黒人音楽も知っているってやつがいたら…たいていはそいつになびくよな?(笑)」

模話2「そうだね。25歳でバンド初参加で周りはみんな未成年でピストルズのサブスティチュートがWhoのカバーだってことも知らない環境で…のちにトレインケプタローリンやエレファントカシマシ、ヤードバーズ、ローザルクセンブルグ、ゼム、スモールフェイセズのレパートリーを仕上げて練習に来られたら…ブルースハープもセカンドポジションでアンプリファイドでオープンチューニングでホンキートンクウイメンを弾けたりブラウンシュガーを全部弾けたことでバンドの中心でやれた…もわくんのような感じってことかな(笑)」

模話1「天才のブライアンジョーンズとは比較にならんけど、ありていにいえばそんな力関係もあり。だって、やっぱり、ロックって実力主義だからさ。かつ勝ち負けみたいな人間は少なくなかったしね」

模話2「ブライアンジョーンズの悪魔崇拝ってのは、どのくらいのれべるだったんだろう?」

模話1「あの、かなり評判の悪かった映画を劇場で見る限り、仮にある程度の真実があのストーリーにあると考えると…センスはいいけど、あるレベルから手を抜くっていうか、飽きちゃってるっていうのかな…臆測でこんなこというのはどうかと思うけど…」

模話2「ケネスアンガーだっけ? キースリチャーズ以外は、ジミーペイジもブライアンジョーンズも見どころなくて…キースにアニタが向いているみたいな話をどっかできいた気がするよ…」

模話1「ジミーペイジは、悪魔崇拝ってよりは、アレイスタークロウリーだとか英米のグノーシス主義とか神智主義?みたいな…知的無限への興味がある人なんだと思うね」

模話2「悪魔崇拝みたいな話だと、ブラックサバスのギーザーバトラーとかが有名だよね。リッチーブラックモアとかの興味本位で発言することをいいことではないという感じでコメントしてた気がするよ」

模話1「実際は、もっとユーロロックだとか、耽美的なロックの系統のほうがより悪魔主義的な感じするけどね…」

模話2「ファッションとしてやってるの…しんどそうだしね(笑)」

模話1「オジーオズボーンはエンターテインメントとして、蝙蝠食べたり鳩食べたりしてるだけだよね…」

模話2「洋七に似てるしね(笑)」

模話1「関係ないだろ(笑)。その通りだけど。Whoの来日公演でロジャーダルトリーは若いころの私服の加藤茶みたいだったしね」

模話2「くだらないよ(笑)」

模話1「ブライアンジョーンズからの悪魔的な悪影響はなかったってこと?」

模話2「うん。やっぱり、キースリチャーズって人は、すごい人かなって」

模話1「あこがれてたよね。もわくんは」

模話2「まあ、一時期は崇拝しそうだったけどね。リズムギターや曲をバンド的に作り上げる点では、センスよかった人だし、ブライアンジョーンズの財産としてのブルースアーティストへのリスペクトというバンドの姿勢でも一貫性あったしね」

模話1「しかしさ…自分の闇の部分の解放って意味ではミッドナイトランブラーやモンキーマン、ストレイキャットブルースとか、すごく影響あったんだよね…ジャンピングジャックフラッシュのプロモの映像も…来たよな…」

模話2「ギミーシェルターの映画は当時、強烈だったよね」

模話1「裏ウッドストックだよね。愛と平和の崩壊って見方はすごく単純な見方だと思うけど、あの時代をうつしとってるし…それにしてもロック評論家とかが愛と平和の幻想の崩壊の象徴としてオルタモントの悲劇を取り上げたりしたでしょ? ヒッピー幻想の終焉とその後のロックシーンを象徴しているかのような出来事を映画化しているってこともショッキングなことだったけど…渋谷さんがその映画の中でキースリチャーズが『演奏ができなけりゃ、おれたちは帰る』と毅然と発言したことを取り上げてたんだよ。確かにそのキースの映像には…かなり影響受けたんだよね。〈愛と平和の音楽なんか嘘だ〉って…それも実は…渋谷さんの影響かな?…他人軸な刷り込みでもあったか…」

模話2「まあ、ウッドストックを愛と平和の祭典って真に受ける人はいまはいないけどね(笑)」

模話1「まあそうなんだけど、でもね、ローリングストーンズを聴くってことがヒッピー的な60年代音楽の終わりを自覚させるってことになってたんだよね(笑)。村上龍の限りなく透明に近いブルーやコインロッカーベイビーズで描かれているローリングストーンズの解釈って…ヒッピー幻想への否定っていうか…アンチな感じがあったんだよね。影響受けたかな…ミッドナイトランブラーを唇から血を出しながらハーモニカを吹くとかさ…村上龍さんの影響も大きかったんだな…今思うと(笑)」

模話2「だいたいさ…1980年以降にウッドストック追体験をしたもわくんが、60年代音楽の終焉をローリングストーンズによって意味づけるってのがある意味こっけいなんだよな(笑)」

模話1「そうだね(笑)」

模話2「ベガーズバンケットとレットイットブリードにゲットヤーヤーズアウトに影響されていたんだよね。いつぐらい?」

模話1「26~30くらいがいちばんどっぷり。スウェイにもどっぷり。スウェイってあるバンドの女性ボーカルの人から教えられて…それから、確かに一時期はいちばん好きな曲だったんだよね。皮肉だけど、ヒッピームーブメントっぽい曲の響きで…ベルベットアンダーグラウンドのローデッドのスイートナッシングだっけ? あれもニューヨークだけど、どこかフラワー的な響きあってさ。ローデッドにスティッキーフィンガーズの2、3曲目にアイガットザブルースを特によく聴いてた頃があるよ」

模話2「悪魔的なってのはいわゆる凶悪なあの悪魔ってだけでなく…けだるい頽廃ってのもあるだろうしねえ…続く~」