「あのマンガ、もう一回だけ読ましてくれ…」13〈サケトレインマンガ③~ギャグマンガ編2 いがらしみきお先生、しりあがり寿先生、泉昌之先生ほか〉
模話1「サケトレイン、マンガ編2だよ」
模話2「いろんな作家の名前が出たね」
模話1「もう少し、詳しく語ろうかなと」
模話2「いがらしみきお先生は大学入った頃、バイブルのようだったね」
模話1「うちに遊びに来る友達が、たいてい全部読んでから帰ってたかな? 結構コレクションがあったからね」
模話2「いがらしみきお先生だけじゃないでしょ?」
模話1「うん。ガロ系とか…だんだん増えていってさ…」
模話2「遊びに来るっていうより、新刊読みに来てたりして」
模話1「まあ、そういうにんげんもおりましたでしょうね(笑)」
模話2「いがらしみきお先生って、すごく作品が様変わりしていったってもわくんは言ってなかったっけ?」
模話1「うん。見た目にはわかりにくいんだけど…4コマのオチでさ…人が空中でパンツ見せたり、ひっくり返ったり、鼻水とかよだれとか、まあいわゆる汁物だしてずっこけてる人いるじゃん?(笑)」
模話2「かわいいよね(笑)。でもさ、ある意味伝統的なあ~あ~みたいなちばあきお先生とかさ、ドリフトかのどひゃどひゃどひゃみたいな最後のオチでみんなでずっこける正統派というのか、ある意味伝統的なお笑いパターンとはいえるんじゃないの?」
模話1「ふふふ。そうだね。いがらしみきお先生ってのはやはり、正統派のギャグの中での逸脱ってのかな? 王道ではあったと思うんだよね。常識があるってのか…だから、バカやろ様だろうし…なんなんだろべ~だろうし、よだれ鼻水っていう、ふつうの人が逸脱したものに対する反応だったわけね」
模話2「それが、変わっていったと…」
模話1「ずっこけなくなるオチが出てくるようになるんだよ」
模話2「ボケと突っ込みであった展開がシュールな方向にいくわけね」
模話1「nhkのテレビ番組に先生が出ていたときに、先生が〈階段を上ってる遠くにいる人を上のほうから見ていて…それを敢えてマンガに描くと面白い〉〈神様の視線なんでしょうかね〉みたいな発言をしていたように思う。そのときに、それまで描いてきた自分の作品すら客観視するような…ちょっと常人離れしたイメージを抱きましたね。まあ、無感動な表情の人がオチにでてくるとかね」
模話2「バグが出るあたり?」
模話1「うん、ネ暗の最終巻とか、あんたが悪い最終巻とかにもそういう感じは出ていたね。まあ、そのへんは評論家の各氏がいろいろ書いているかもしれないしね…実際に読んでみてほしいです。ほんとおもしろいから」
模話2「ぼのぼのはどうですか?」
模話1「好きだよ。でもさ、ぼのぼのはよくてネ暗だとかあんたが悪いとかは無評価っていううちの兄貴みたいなオタク連中とはあわないな~、いがらしみきお先生がものすごく苦労したであろう時代は興味ないってさ…なんだかなあ…いしいひさいち先生は評価高いのに…初期いがらしみきお先生は無関心とか…あの、偏りって理解できないな…」
模話2「では次はしりあがり寿先生」
模話1「エレキな春の衝撃ですね。同時期に泉昌之先生とともに、わが家に遊びに来た連中は必ずよんでかなり受けていたよ」
模話2「しりあがり寿先生はコイソモレ先生でしたっけ? すごく詩的な4コマもありで…先生はロックもお好きのようでしたね?」
模話1「ブルーハーツだとかジャニス・ジョプリンだとかね。マリリン伝次郎は元グラムロックのスターだったね。流星課長だったっけ?」
模話2「背骨にラブアンドピースが流れていいる感じだね」
模話1「画力対決で西原理恵子先生とやっているやつ面白かったね」
模話2「ヘタウマであそこまで行けるってのもすごいかも」
模話1「根本敬先生をヘタウマって人もいると思うけど…違うんだよ。同じ絵を描けるかどうかが画力の一つでもあると思う。いつも同じ下手さだったらうまいんだと思う。ロックもそうだよね」
模話2「うーん。言いにくい話だけど…いつも同じように下手なギターを弾く人とかってことか?」
模話1「うん。まあね。ロックって、すごく癖がある人が上達した人少なくないでしょ?」
模話2「例えば?」
模話1「スティーブハウとかウイルコジョンソンとか…トムヴァーラインとか…」
模話2「怒られるぞ…(笑)」
模話1「昔の漫画家さんってそういう個性的な絵の人おおかったでしょ?」
模話2「そうだね。たしかに」
模話1「話それるけど…いがらしみきお先生はすんげえうまかったよ…4コマではとびぬけた画力だったと思う」
模話2「しりあがり寿先生は?」
模話1「Whoが高校の教室で演奏したのを見たらぶっ飛んでるだろ?」
模話2「そうだね。たしかに」
模話1「先生も、すぐ隣で描いてるの見たらうまいんじゃないか?」
模話2「(笑)。続く~」