平成ライダー三ヶ月半で全部見た W(ダブル)編


 こんにちは、マグロダです。
 
 「平成ライダー三ヶ月半で全部見た」とは、平成ライダーを二ヶ月で全部見ようとルーレットを回して作品を決めていたら、結局は全部見るのに三ヶ月半かかっちゃったチャレンジのことです。本記事では、視聴した作品を一作ずつ振り返っていきます。

 視聴の順番は完全ランダム。8回目の視聴作品もルーレットで決めたところ、今回見ることになったのは「仮面ライダーW(ダブル)」でした。『W』は2009~2010年にかけて放送されたライダーで、平成ライダーのナンバリングでいうと11作目に位置づけられます。

 なんでも平成ライダーは前半の10作を平成一期、後半の10作を平成二期と分類するそう。そのため、『W』は平成二期ライダーの一作目ということになりますね。

 『W』は人気の高い作品で、完結から数年以上経って「風都探偵」というコミカライズ作品が始まっています。現在も連載が続いているほどです。その上すごいことに、二人組の主役のうち片方はあの菅田将輝さん! 

 もちろん、菅田将輝さんが出演しているからってだけで『W』が人気なのではありません。話がたいへん面白いんです。その面白さをお伝えできればと思います。

■目次
・どんな作品?
・登場人物ピックアップ
・注目ポイント
・個人的名シーン
・視聴のススメ

どんな作品?

 物語の舞台は「風都」という名の街。ここではUSBメモリのような形をした特殊な道具、「ガイアメモリ」が流通していました。その効果は、人体に挿すことで特殊能力を持つ怪人になれるというもの。ガイアメモリによって力を得た怪人は「ドーパント」と呼ばれ、風都の平和を脅かす存在です。

 ドーパントに対抗するのは主人公の私立探偵の左翔太郎(ひだり しょうたろう)。彼はおやっさんと慕っていた師匠の探偵、鳴海荘吉(なるみ そうきち)をある依頼のさなかに謎のドーパントの手で殺害されています。

 その依頼で翔太郎くんが救出したのが、『W』のもう一人の主人公であるフィリップという少年。彼には地球の全ての情報が分かる「地球(ほし)の本棚」へ意識を飛ばすことができる特殊な力がありました。そして同時に、仮面ライダーWに変身するためのベルトとそこに装填する6種類のガイアメモリを持っていたのです。

 翔太郎くんとフィリップくんは風都で起こる事件を探偵とその助手として解決していきます。一方で、ドーパントを二人で一人の仮面ライダーWとして倒します。そうして探偵と仮面ライダーの両面から、悪の秘密組織「ミュージアム」を探っていきます。ミュージアムはガイアメモリを風都に流通させている元凶であり、おやっさんを殺した謎のドーパントとも関わりがあるのです。

 翔太郎くんとしては師を殺された個人的な感情もゼロではありませんが、それ以上に探偵として、仮面ライダーとしてミュージアムのことは見過ごせません。また、彼らを追い詰めることはフィリップくんの素性を解き明かすことにもつながります。

 翔太郎くんたちは彼らの悪事を暴き、町の平和を守ることができるのでしょうか? 『W』は仮面ライダーであると同時に探偵の物語であり、ひとつの町を守る戦いの物語でもあるのです。


登場人物ピックアップ

左 翔太郎(ひだり しょうたろう):探偵業を営む青年で、相棒のフィリップと共に仮面ライダーWに変身する。亡き師匠にしてハードボイルド名探偵、鳴海荘吉のあとを継いで鳴海探偵事務所で働く。自分も師匠のようにハードボイルドになりたいのだが、情に厚く熱血寄りの性格をしており美女にも弱いなど、残念ながらあんまりハードボイルドではない。そのため「ハーフボイルド」とからかわれている。いじられキャラの側面もあるが探偵やライダーとしての能力は高く、コミュニケーション能力や情報収集力はもちろん、洞察力や判断力、閃きにも優れる。生身での格闘もそつなくこなす頼れる人物。

フィリップ:鳴海探偵事務所の一員で翔太郎の相棒。彼と共に仮面ライダーWに変身する。翔太郎の師匠である鳴海荘吉が命を落とした事件で、翔太郎の手により救出された。過去の記憶がないことや極めて論理的な考え方をすることから浮世離れした印象を受ける。また、一度何かに興味を持つと詳しく知り尽くすまで知的好奇心を押さえられない。これらの性格から翔太郎と衝突することもしばしば。地球の本棚と呼ばれる全ての情報が記録されているデータベースにアクセスすることができる。

鳴海 亜樹子(なるみ あきこ):翔太郎の師匠、鳴海荘吉の実の娘。大阪から風都に引っ越してきた。鳴海探偵事務所の権利書は荘吉の娘である彼女にわたっており、それを理由に鳴海探偵事務所の新所長として活動するようになる。やや強引なところはあるが明るく元気な性格で他人を思いやる心があり、芯も強い。父が死去していることは知らない。

照井 竜(てるい りゅう):若くして警視にまで昇りつめた非常に優秀な警察官で「アクセル」という仮面ライダーに変身する。風都ではドーパント対策のため超常犯罪捜査課の課長になる。一見クールな性格だが、家族全員を凍死させた謎のドーパントには激しい復讐心を燃やす。質問をされるのが大嫌いな性格で、「俺に質問をするな!」が口癖。謎の人物「シュラウド」が彼に協力しており、照井はアクセルに変身するベルトや仮面ライダーWに関する一通りの情報などをシュラウドから受け取っている。


注目ポイント

・翔太郎とフィリップ

 仮面ライダーWは二人で一人の仮面ライダー。翔太郎くんとフィリップくんの連携がとれていなければ、事件の推理もドーパントの撃破も達成できません。

 フィリップくんがアクセスできる地球の本棚は、意識だけを飛ばして入場できる特別な図書館のような場所です。そこには地球のあらゆる情報が全て蓄積されています。スピリチュアルな話に詳しい方は、アカシックレコードと言われた方がピンとくるかもしれません。

 では星の本棚にアクセスさえできればあらゆる事件を解決できるのか? というと、そうではありません。蓄積している情報が膨大すぎるために、適切な検索ワードが無ければ目当ての情報を発見できないのです。

 ここで重要になってくるのが翔太郎くんの探偵としての能力。聞き込みを重ね、推理し、適切なキーワードを導き出すことで、フィリップくんが地球の本棚を有効活用できるようになるのです。

 また、戦闘でも二人の連携は欠かせません。そもそもWは基本的にフィリップくんの精神が翔太郎くんに憑依して戦う、ひとつの肉体を二人で動かすライダーです。その姿は縦に真っ二つに色分けされており、翔太郎くんが体の左半分を、フィリップくんが右半分を動かしているのです。普通に動くだけでも大変そうですが二人の息はピッタリ。軽快なアクションで戦います。

 それだけではありません。Wは戦闘中のフォームチェンジも大切です。フィリップくんが持ち出した6つのガイアメモリを、翔太郎くんは「ジョーカー」「メタル」「トリガー」、フィリップくんは「サイクロン」「ヒート」「ルナ」と、彼らは3つずつに分けて共有しています。Wはお互いのガイアメモリを組み合わせることで、2つの力を同時に扱う姿に変身できるのです。その組み合わせは9つ。これによりどんな相手にも互角以上に戦えるのがWの強みと言えるでしょう。

 そしてそれ以上に、そもそも同時に二人が変身していることがWの強さの秘訣です。フィリップくんの分析力や翔太郎くんの閃きはドーパントの性質を見抜き、フィリップくんの作戦立案能力と翔太郎くんの決断力がドーパントを撃破する一手を生み出します。一人が動揺しているときはもう一人が叱咤し、支えます。

 二人はお互いに無い部分を補いあい、またお互いの強みを補強しあうバディです。一人ではできないことも二人ならば達成できます。こうして翔太郎くんとフィリップくんは次々とドーパントを倒していくのです。

・話の通じる男、照井竜

 照井さんはね~本当にいいキャラなんですよ。翔太郎くんがちょっと軟派な感じのお人好しな熱血漢なら、照井さんはゴリゴリに硬派な、むしろ翔太郎くんよりハードボイルドな人物なんです。

 登場当初こそ復讐を優先するあまり翔太郎くんたちとの間に対立しそうな空気もありましたが、一度ドーパントを相手に共闘した結果すぐに協力し合える関係になります。しかもありがちな「お前には関係ない話だ……!」みたいな態度を取らないで自分の事情もちゃんと説明しますし、なにか問題があっても翔太郎くんたちのスタンスや事情も踏まえて落としどころを探ってくれます。

 そう、照井さんは……仮面ライダーの中ではかなり珍しい、ほぼ最初から主人公たちとちゃんと話をして万全に協力し合えるライダーなのです。翔太郎くんたちがWなのも知ってますしね。

 照井さんの質問が嫌いな性格もいい設定をしているんですよ。作劇の都合でまだ翔太郎くんたちに知らせたくない謎を照井さんが知っているときなんかは、あえて誰かに質問させて「俺に質問するな!」と言わせれば、自然と謎を提示しつつ核心には触れずにいられるわけですよね。この設定考えた人、めっちゃ頭いいですよ絶対。

 しかもこの口癖、ギャグにも転用できるんですよね。動物園で照井さんが子供たちに囲まれて「あの動物なに~!?」等の質問攻めをされまくる回があるんですが、照井さんが頑張って笑顔を作って「おれに、質問を、しないで、くれるかな?」とぎこちなく対応しているところは非常に面白かったです。


・超常犯罪の絶えない街、風都

 Wは探偵モノでもあるから仕方がないんですけど、風都って本当に犯罪が多発してるんですよね。毎週毎週ドーパントが出てくるし……。しかもドーパントって、特に悪の組織に支配されているわけでも人間を襲う謎の種族でもないんです。単純に人々がその力でやりたいことがあるからガイアメモリという手段を使っているにすぎません。

 ドーパントになる方法はとっても簡単です。悪の秘密組織ミュージアムの売人からガイアメモリを購入し、コネクタ手術という自分の体にガイアメモリを挿せるようになる手術を受ければいいのです。その能力は千差万別。炎や氷を生み出すようなスタンダードな物から、相手を老化させる、相手に24時間前と全く同じ動きを強制する、といった少し奇妙なものまで。ただしどれでも使えるわけではなく、人によって適合率があるようです。

 ではわざわざそんな力を得てまで風都市民がなにをしたいかというと、そりゃ復讐とか犯罪とか、非合法な行為なわけです。照井さんがわざわざ超常犯罪対策課を作ったのも頷けます。おまけに『W』は探偵モノなので、冒頭では素知らぬ顔で出てきたキャラが最後には本性をあらわにして襲い掛かってくるわけですよ。そうなるとやっぱり、「風都ってこんな人ばっかり住んでる街なんだ……」って思っちゃいますよね。

 しかもガイアメモリを購入しちゃうような一般の風都市民はミュージアムなんて存在を知りません。また、ミュージアムの幹部にも表の顔があり、普通に風都で生活しています。これにより、たまたまガイアメモリを手にした人物が知らないうちにミュージアムの幹部に襲いかかるような前代未聞の展開も発生するのです。て、敵まで野良のドーパントに困ってる……。すごい街だ、風都。

個人的名シーン

 私が好きなのは22話ですね。どんな話かというと、照井さんが大量の鉄骨の下敷きになるものの不死身なので生き残る回です。

 もう少し詳しく説明すると、照井さんは復讐相手のドーパントの情報を餌におびき出されてしまいます。そこで罠にかかり、大量の鉄骨の下敷きになってしまうんですね。敵はこれで照井さんを排除できたと考えているわけです。

 いや、そんなわけねーだろ!!

 照井さんって、めちゃくちゃ身体能力が高いんですよ。どれくらいかというと、本来は仮面ライダーに変身して使うような超重量の剣をむりやり生身で振り回してドーパントと戦えるくらいには強いです。生身で考えたら、荒事になれてる翔太郎くんすら比べ物にならないくらい強い。

 もちろん鉄骨もなにか策を練って回避したとかではなく、単純に頑丈なので怪我だけで済んでいると考えられます。強すぎる。

 メタ的に考えちゃうとこんな中盤でライダーが死ぬわけないのでどうせ生きてるとは思っていたんですが、それでもボロボロの照井さんが登場したときは家で一人でテンション上がっちゃいましたね。おそらく他の全ての視聴者も照井さんが鉄骨ごときで死ぬはずはないと分かっていながらも盛り上がった瞬間なのではないでしょうか。

視聴のススメ

 『W』は一気に見てもゆっくり見ても面白い作品だと思います。とはいえ話は前後編の二話構成で進んでいくので、二話単位で視聴していくのが分かりやすくて楽しいと思います。

 『W』のいいところって、各話ごとの短期的な謎や目標と物語全体の長期的な謎と目標が常にあることだと思うんです。依頼人が来て事件を解決するという短い物語の連続が、ミュージアムの謎を解き明かす長い物語になっているわけですからね。そのためひとつひとつ視聴しても面白いですし、連続で一気に見ても飽きにくく面白いのだと思います。


 以上、今回は仮面ライダーWについてお話ししました。どうしても照井さんの話が多くなっちゃったんですけど、翔太郎くんたちのコンビも大好きですね。というか、翔太郎くんがすごい良い人でカッコいいんだよな~。作中ではあんまりモテないのが不思議なくらいです。

 次回は仮面ライダー電王についてお話しします。お楽しみに!

ここから先は

0字

¥ 193

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?